UP:2016-11-17
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4.ねぇ 私は本当にあなたのことが好きで嫌いで 大好きで大嫌いで大嫌いで大嫌いで大嫌いで ねえ分かりますか? |
UP:2016-04-06
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透明なビニール袋の中で、窮屈そうに淡い緋色が揺れ動いていた。 「……金魚か?」 「金魚でなければ何に見えるのさ。メダカ?」 「あぁん? 馬鹿ぬかすなよ風流、こんなでけぇヒメダカがいてたまるか」 始まってしまった舌戦は […] |
UP:2016-04-06
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「珍しいな。乱れ菊に見えたが……彼岸花か」 浴衣の柄を見た的場屋の、第一声。 紫を主体とした濃淡の生地に、薄く重ねられた紅の曲線は、夕暮れの空に映える彼岸花の意匠。帯結びは片花文庫で、同じく彼岸花をあしらった簪を飾り […] |
UP:2016-04-06
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風流(ふうりゅう)は、自室のベッドに力なく身体を投げ出して、億劫な気分を隠しもせずに口を開く。 「……で?」 「はい、的場屋(まとばや)からのご依頼で、宵祭りの間、香籠(かごめ)にお社の守りをお願いされたそうです。奇跡 […] |
UP:2016-04-06
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朽ちた屋敷。廃墟となった富の証。それはつまり、遺跡。 砂塵と埃を鮮明にする、天井の穴から零れる光。それだけを頼りに歩き続ける。 打ち捨てられた家具や崩れ落ちた板が乱雑に転がる床は、気を抜けばすぐにでも足を取られて倒 […] |
UP:2016-04-04
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ひりつく暑さの続く夏盛り。 連日の猛暑にも枯れるそぶりも見せず、思うざまに生い茂る木々の緑を背景に、佇む人影がひとつ。 蝉時雨さえ涼しげに感じさせるその姿に、的場屋(まとばや)は一時だけ歩みを止めた。 彼の気配を […] |