UP:2016-04-06
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透明なビニール袋の中で、窮屈そうに淡い緋色が揺れ動いていた。 「……金魚か?」 「金魚でなければ何に見えるのさ。メダカ?」 「あぁん? 馬鹿ぬかすなよ風流、こんなでけぇヒメダカがいてたまるか」 始まってしまった舌戦は […] |
UP:2016-04-06
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透明なビニール袋の中で、窮屈そうに淡い緋色が揺れ動いていた。 「……金魚か?」 「金魚でなければ何に見えるのさ。メダカ?」 「あぁん? 馬鹿ぬかすなよ風流、こんなでけぇヒメダカがいてたまるか」 始まってしまった舌戦は […] |
UP:2016-04-06
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「珍しいな。乱れ菊に見えたが……彼岸花か」 浴衣の柄を見た的場屋の、第一声。 紫を主体とした濃淡の生地に、薄く重ねられた紅の曲線は、夕暮れの空に映える彼岸花の意匠。帯結びは片花文庫で、同じく彼岸花をあしらった簪を飾り […] |
UP:2016-04-06
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風流(ふうりゅう)は、自室のベッドに力なく身体を投げ出して、億劫な気分を隠しもせずに口を開く。 「……で?」 「はい、的場屋(まとばや)からのご依頼で、宵祭りの間、香籠(かごめ)にお社の守りをお願いされたそうです。奇跡 […] |