崩れかけた書架の扉を押し開くと、潮騒に統べられた白と紺碧が眼前にあらわれた。途端にノブの感触は消え、扉はもう無い。
白い真砂は記述を待って忘れ去られた紙のようで、波が束の間、その白紙にしみを付けては消えてゆく。
海底には揺れる文字たちが見え──その遠さに吐息が零れた。
開いた本。
中には、つい数日前に手を伸ばそうとした本の、同じ世界の、いつかどこかで、が納められた別の物語の断章たちが眠っている。
ぱらと流して、あきらめた。この解読は取り掛かるには早すぎる。
ふと揶揄する声が「ライブラリ、だからな」と夜気を踊らせた。
「コメントの欠けたライブラリ、関数群」
ここは《図書館》なんて可愛いものじゃない。
コメントもドキュメントもないぐちゃぐちゃな関数の集まった《関数群》が「ライブラリ」なのだ。
使ってみないと分からない、中を見てみないと理解できない、そういうものの巣窟。
白い真砂は記述を待って忘れ去られた紙のようで、波が束の間、その白紙にしみを付けては消えてゆく。
海底には揺れる文字たちが見え──その遠さに吐息が零れた。
開いた本。
中には、つい数日前に手を伸ばそうとした本の、同じ世界の、いつかどこかで、が納められた別の物語の断章たちが眠っている。
ぱらと流して、あきらめた。この解読は取り掛かるには早すぎる。
ふと揶揄する声が「ライブラリ、だからな」と夜気を踊らせた。
「コメントの欠けたライブラリ、関数群」
ここは《図書館》なんて可愛いものじゃない。
コメントもドキュメントもないぐちゃぐちゃな関数の集まった《関数群》が「ライブラリ」なのだ。
使ってみないと分からない、中を見てみないと理解できない、そういうものの巣窟。