gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
 往きて語られるものあれど、還りて語るものない、無名の都。此処には、今日も見果てぬ書たちが並ぶ。
 無限の叡智をおさめた殿堂、と称される一方、知識の万魔殿、無知喰らいの巣、とも呼ばれる魔の領域。
 ──迷宮書架、すなわち《ライブラリ》が、その名であると知るのは、我々だけだ。
 ……ライブリ、ライブリ。呼ばれ使われ組み込まれ、世界の総てに通ずる書架よ。己のみでは何も紡げず、呼ばれ使われ組み込まれ、ようやく十全となる関数群よ。ライブリ、汝は──世界の語り部なるや?
 ……時折、そんな歌声が、ここには流れる。
 書架、関数群、世界……。読み解くべき書はまだ多い。
>> leaves
蒼褪めた白い月、微睡む透明な星。
鮮やかな終焉、緩やかな永遠。
穏やかに過ぎる、密やかな滅亡。
涼やかに響いたのは、軽やかな笑い声。

冷ややかに、総てが通り過ぎてゆく。
>> dehyca_code
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
>> memolog
†えっちゃんと梅枝
梅のほう的には「好き嫌いは置いといて、とりあえず機会が来ればコロス」くらいの意識。
えっちゃんとしては「思ったよりガチでアウトだったみたいだからそっとしておいてやろう」みたいな感じ。

梅のそれが単なる虚勢なら、えっちゃんは鼻で笑って、やってみろよ?って煽るとこなんだけど、奴はわりとガチンコでやる気なのです。ちょっと噛みつかれるくらいなら楽しむ得鳥羽月ですが、喉笛を噛み切る気でくる相手はちょっとノーセンキュー。
そんなこんなで、おもしろ半分に不意打ちで血を食わせたあとは、梅枝の確たる殺意を察してそっと距離を取っている得鳥羽月でした。
好き嫌いでいうと、わりと好きなやつだなコレ、と思っている。

梅枝も、不意打ちへのケジメとして「とりあえずコロス」と決めてはいるものの、好き好んで皇鬼に殴りかかるほどやけっぱちな訳ではないので、会わないならそれに越したことはないと思っている。
そして別に嫌いなわけでもないというか、好き嫌いを判断するほど知り合ってもいないしなあ、って思っている。

実力差からして、どれだけ好条件が揃っても、梅枝が得鳥羽月を葬るのは不可能だけども、そのくらいの気合いで仕掛ければ手傷は負わせてやれる、というくらい?
「死んでもいいから殺す気でやる。コロス。」な梅枝と、「さすがにそれは面倒くさい」なえっちゃんと。
氏族 clan
 ……幻想地球系においては、同じ『神』から始まった信仰を保つ集団を、クラン、氏族、一族、などと呼ぶことが多い。
 ある山岳部の『羽持ち』……星読の神に連なる羽の一族、北の氏族──雪の神に愛される雪花石膏たち、などがそれだ。
 また、氏族のはじまりが神とは別のルーツに拠る場合もある。
>> ss
少女は過疎の迫る地方に生まれた。緩やかに衰退してゆく、伝統と因習がまだ残る集落で、色のちぐはぐな双眸を抱えて生きていた。噂する人々の感情は、神秘への好奇よりは、奇異の目のほうが多かったように思うが、今はもうよく覚えてはいない。
記憶しているのは、彼岸まで続くように咲き誇った、あかい花の色と、彼岸から押し寄せてくるような、あかい空の色。
身を隠すように、近くなる夕闇を待ちながら、少女はそっと地に伏せ、目を伏せた。

訪れた薄い眠りからふと目覚め、花弁の中で瞬いた瞳に映ったのは、まるで花の化身のような美しいひと。
かみさまだ、と少女は夢心地にそう強く信じ──憐れむように差し出された手を、取った。

実際には、神という括りからは少しだけ外れていた、少女のかみさま、真鳥のひめさまは、それはそれとして、地の神に近い存在として畏敬されるものではあった。
娘として遇され、愛された少女は、その双眸さえも佳(よ)きものと笑まれ、慈しまれた。
そうしていつしか、彼女たちは同じものへと変じてゆく。……人にして、人ならざるものへ。人ならざるものにして、人へと。
いびつな、ものへと。

満開の花の中ですくわれた少女、曼珠沙華の姫。
千変万化、万化と呼ばれる奇跡屋──万華は、そうして一度、もろともに道を踏み外しかけた。
改めて親子の縁を結び直した今は、人として、人ならざる『母』と、笑い合っている。
薄いミントのムースを箱に詰めて重石を置いたら、冷たい夜風にさらしながら数日おいて水気を飛ばす。そうすればほら、青がうっすら模様を描くラリマーの出来上がりだ。そのままかじってもよし、砕いて他のムースに加えてもよし、さくりと雲母のように割れる食感と、爽やかな風味が癖になる。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。