gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
 眠い。
 昨夜ふと手に取った本のせいだ。まだ迷い込んだばかりの頃、知らずに翌日また続きを読もうと手放してしまった物語。
 ここは読みかけでも容赦なく行方知れずにして、素知らぬ顔で別の物語を差し出してくる。読み終わってからでなければ危なくて本を戻せない。
 だから最後まで読もうとして――ああ、眠い。
 葉擦れのさざめきで目を覚ます。
 昨夜、見えども掴めぬ書庫の影に振り回され、すっかり困憊して倒れ込んだのは、そんな彷徨を見透かしたかの如きやわらかな寝台……だった、はずだが。
 身じろいだ肌に触れたのは、爽やかな下草の揺れる気配と、夜の名残のような敷布のみだった。
>> leaves
いずれ滅びる全てに懸けて、それでも貴方を。
「なー、今の店員さん誰? コイビト?」
「……にしては、お前なんか顔が暗いな」
「知らない人だって。初対面だって!」
「なぁ、何でそんなに怯えてんの?」
「……別れ際にな、『きっとまた来てくれますよね、良さが分かりますよ。顔、覚えましたから』って……」
「怖っ! お前、それ絶対やばいって!」
「逃げろ! とりあえず逃げろ!!」
「だろ!? ヤバいよな、ヤバイよなっ!?」
>> dehyca_code
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
>> memolog
氏族 clan
 ……幻想地球系においては、同じ『神』から始まった信仰を保つ集団を、クラン、氏族、一族、などと呼ぶことが多い。
 ある山岳部の『羽持ち』……星読の神に連なる羽の一族、北の氏族──雪の神に愛される雪花石膏たち、などがそれだ。
 また、氏族のはじまりが神とは別のルーツに拠る場合もある。
+病みたる皇鬼の矜持。
 鬼の基本として、戦闘能力至上主義があるわけです。対人能力とか知識とかでも価値はつくんだけど、それらは戦闘能力でつけられたポイントを補強する程度の効果しかない。
 まぁ、かといって喧嘩が強けりゃ性格が最低でもいいのかっていうと、やっぱ従属したくなる相手は礼儀とか弁えてる奴に限るらしいけど。

 んで、得鳥羽月がどうなのよっていうと、えっちゃんは破滅的に実力主義を無視する節がある為、絶望的に異端扱いされる。いや実際にあらゆる振る舞いが異端なんだけどさ。
 奴が普通の実力主義をモットーにしていたら、自分と同等以上ないし同等に限りなく近い相手以外に対しては、従属させるか、従属までしなくても格下として一段も二段も下からの態度をとらせるか、どっちかしてないとおかしいのな。
 ところが果の月は種族的にも実力的にも間違いなく格下なのに、ずかずかと邸に踏み込んでくるし得鳥羽月を対等の友人として扱う。そこんとこ見る限り、えっちゃんは基本事項ガン無視です。

 しかして、彼の皇鬼を知る連中は口をそろえて「死んでもあれの矜持には傷をつけるな」と真顔で言います。

 じゃあ奴の矜持って何、つーと。
 やっぱ実力主義なんだよなー。

 第一に、自他の能力差を正確に把握する。第二に、把握した力量差を正直に認める。んで第三に、それを忘れない。つまり従属こそ求めないけれど、能力は分かっとかないとアウトって感じ。
 だから舐めてかかって喧嘩売った輩や、実力を過小評価した輩や、何を仕掛けても怒られないと勘違いした輩は、ことごとく徹底的に潰されます。ご注意。
 従属を求めるか否か、それと評判を気にするかどうか、以外は、得鳥羽月の矜持って真っ当です、実は。

 でも、従属を求めたり主従関係の情を大事にしたりって、鬼として超重要な気質だから、そこが狂ってる得鳥羽月はそれだけで決定的におかしいんですけどね……。
>> ss
夜明けの藍色を見ると死にたくなる、少年はそういった人種だった。億劫そうに、欠伸と共に放り投げたその言葉は、べつに拾われなくとも構わないと、理解や共感を諦めて吐き出したものだ。
同情も憐憫も願い下げで、その場しのぎの慰めなどには反吐が出る。そうやって斜に構え、薄甘い馴れ合いを拒絶して、そうしてひとり、つまらない最後に行き着くのだろうと思って生きていた。

彼の横でぼんやり空を見ていた相手が、夕焼けを見ると消えたくなるという奴を知っている、と笑うまでは。

独りである、という点で同じ、空を見るたび死を思う誰かが、どこかにいる。
また面倒な人間もいるものだ、と、皮肉って笑い、しかし宮良慧という少年は、それで少しだけ報われた。

相変わらず夜明けにうんざりしながら、少年は今日も夕焼けを眺めて、少し笑う。
きっと今どこかで消えたくなっている誰か。そこに自分の話も届いて、きっと少し笑っているだろう。笑っているならいいだろうと。
どうしようもない世界で彼は、このごろ少しだけ、空に祈るようになっている。
少女はとある冬に生まれた。そうして、吹雪が途切れた、ある晴れの日、凍て空のなか、ひとり雪の残る道を歩いていった。天へと向かい、上へ、上へと。
そうして『少女』の姿はついに、雪深い山の奥へと消え去った。
いまは時折、踏むもののない新雪の上へと、踊るように、可憐な靴痕が残されるのみだ。

彼女はずっと、冬のなかで唄っていた。くるり、ふわりと、吹きすさぶ氷雪と遊びながら。
いつしか『彼女』は、名前をどこかに置いてきてしまった。
姿も、いつの間にやらどこかへと捨ててきてしまった。
唄う声もいつかどこかへやってしまうのだろうか、と、ある日に少女は思った。ならば、最後にと。

そうして、冬の晴れ間に、少女だった彼女は旅立った。
あとのことは、さしあたって語るほどのものではない。
彼女は少女の可愛らしい姿で、少しばかり斜に構えた可憐な笑顔で、今日もどこかの空の下、その声で歌を紡いでいるだろう。
Jungfrau、乙女の山……あるいは貴き白、Edelweissと、だれかにその名を呼ばれながら。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。