ひそりと、足取りに似た物音が耳をかすめて消えた。背表紙を辿るのに没頭していた思考が引き戻される。──気配が行き合いこそすれ、決して出会うことのない誰か。
ああ貴方もか、と知らぬ誰かに微笑んだ。
くる日もくる日も……狂うまで、我々はこの書痴の樹海をひとり彷徨い歩くのだろう。
日も高い時分、荒れた小さな温室で、表紙の欠けた書と出会う。ここで読むには難があろうと、しばらく小径を歩いて見えてきた扉に手をかけると、そこには夕暮れの薄闇が垣間見える小窓と、まだ暖かさを宿したままの部屋に、軽食の準備が一式、整っていた。
……今夜は、落ち着いて本を読めそうだ。
ああ貴方もか、と知らぬ誰かに微笑んだ。
くる日もくる日も……狂うまで、我々はこの書痴の樹海をひとり彷徨い歩くのだろう。
日も高い時分、荒れた小さな温室で、表紙の欠けた書と出会う。ここで読むには難があろうと、しばらく小径を歩いて見えてきた扉に手をかけると、そこには夕暮れの薄闇が垣間見える小窓と、まだ暖かさを宿したままの部屋に、軽食の準備が一式、整っていた。
……今夜は、落ち着いて本を読めそうだ。