gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
 眠い。
 昨夜ふと手に取った本のせいだ。まだ迷い込んだばかりの頃、知らずに翌日また続きを読もうと手放してしまった物語。
 ここは読みかけでも容赦なく行方知れずにして、素知らぬ顔で別の物語を差し出してくる。読み終わってからでなければ危なくて本を戻せない。
 だから最後まで読もうとして――ああ、眠い。
 ……ライブリ、ライブリ。呼ばれ使われ組み込まれ、世界の総てに通ずる書架よ。己のみでは何も紡げず、呼ばれ使われ組み込まれ、ようやく十全となる関数群よ。ライブリ、汝は──世界の語り部なるや?
 ……時折、そんな歌声が、ここには流れる。
 書架、関数群、世界……。読み解くべき書はまだ多い。
>> leaves
あなたが誇ることのできないわたしなら、いらない。

きみを失ってしまえるようなわたしなど、いらない。
ゆらゆらとゆるやかにゆがんでゆらいで ゆめをみる
ゆううつに
ゆきばもなく ゆくさきもなく ゆっくりとゆうりして ゆらゆら
ゆめみたいなゆるやかさ ゆくさきなんてゆめにもみないで

すこし ゆかい。
>> dehyca_code
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
>> memolog
+忘れそうなので。
今の内に残しておこうと思いました。キャラ設の下書き。香籠さんです。
職業は香屋。普通の量産系アロマグッズや、京系?って言うんですか、アロマというより香という感じの、和なイメージのアロマグッズを取り扱っています。その他には香水とか、アロマテラピー系の(本職さん向けな)品物もあり。
これでそこそこの収入がありますが、最大の稼ぎはオールオーダーメイドの調香。
因みに、元々は『アロマ』ではなく『香』の方のプロ。まぁ現実世界で言うと明治とかの育ちだからなぁこのヒト。
奇跡屋のほうも職歴は古く、香屋として独立した頃に同時開業したみたい。
母親は兇鬼の香散見草、父親は人間。で、香散見草の血のみならず、彼女の血に混ざっている得鳥羽月の血もきっちりと継いでおり、どちらかといえば得鳥羽月の能力の方が強いです。だから香と同時に風も使える。
香を媒体とした心身の操作は香散見草、風は得鳥羽月、んーで『路』や気配を視る眼は父親、って感じに能力が全部発現した稀有な混血ですね。
夫婦仲が良かったからか、人間にも鬼族にも悪感情を持っていない点も混血には珍しい。ただ涯の導に目ぇつけられてるし、異形狩りの頃とかにも生きているから、好意を持っているのかというとビミョウではある。
人界は好いてます。だから人間寄りの場所にいるって事はあるね。
詮索を嫌う辺りとかで過酷な幼少期だった感じもしますが、ああ見えて育ちはよろしいので、母親である香散見草が相手だと敬語です。周りの方々は結構驚くんだけどね、奴が仕事抜きに敬語で話してると。
あと、ウチの実力者には珍しく女好き。いや、他人への興味が強いというか、接触に抵抗がないというか、冷邏とか鎬とか亘璃とかと比較すればの話なんですが、とにかく真っ当な構造の持ち主です。
父親が死ぬまでは両親との3人暮らしをしていて、その頃に香の扱いを覚えた。んーで、父親が死んだ直後に母親と離別、指導を受けていた香屋さんのところに住み込みで就職して独立。その後はあっちこっち転々としていた模様です。
涯の導つながりで予想外の母子再会を果たした後は、たまに連絡をとって顔をあわせたりするようになって、最終的には昔使っていた家へと戻って共同生活を始める。
性格としては、普段は何も言われないうちから周囲の意図を汲んで行動するタイプ。をや、これもウチとしては稀少な気がしますよ。機嫌が悪い時は、面と向かって要求されるまで何もしません。冷邏の逆タイプだと思えば良いのか。つまり気を回しすぎて消耗するか、あるいは気が利かないとかで衝突して疲れるかなら、腹ん中じゃ後者の方が楽だと思ってるヒトじゃないかと思われます。
+理不知の呼び方
えーっと、とりあえずスタンダードが「得鳥羽月」で本名がわり。
んで赤土系が通称にしてるのは「移ろい菊」か「菊のxx」で、これはご幼少のえっちゃんを「雛菊(幼き隠君子)」と呼んだところから派生。「雛菊がもう雛じゃねぇ」ってーんで「よく出歩くし、移ろい菊」に。
神格系だと「月魄」とか「月華の鬼」とか、月が基調の呼び方。
個人的に呼んでた名としては、露隠葉月の「病みたる皇鬼」と「可惜夜」に、果の月が「黄櫨染(皇の禁色)」で、一部の神格とか赤土の民とかが「理外」「理外の君」かなぁ。
塵祈・霞彩のいかんとも仲間は「理外の君」を使う場合が多く、素性バレ警戒時は「風招き(かざおき:風を起こす事)様」とかって呼んでます。
あとは格下連中が多く使う「忌鬼の君」と、それを更に限定化した「忌鬼の大君」とか。
「理不知」も呼び名の一つではあるけど、えっちゃんが自らの名乗りに使うほぼ唯一の名であるため、一種の諱扱いらしく、他人が口にすることは珍しいようです。
>> ss
少年はとある暑い国で生まれた。それ以上のことはもう誰も知らない。少し気合いを入れて遠出をすれば熱砂が吹きすさぶような土地で、めいめいから好き勝手に呼ばれてきた。
かつてどんな名前だったのかも、もう誰も知らない。あるいはそもそも、無かったのだろう。
少年も、べつに興味はなかったので、今はもう誰がどう『彼』を呼んでいたのかなど、すっかりと忘れてしまっている。
何番目とか、オモチャとか、そこのチビとか、そんなような、たわいもない呼びかただったような気はするけれども。

けっきょく、今も彼に名前はない。けれどもまあ、マイスターとか、絡繰屋とか、なんとなく彼が気に入ったもので呼んでもらえるものだから、いいんじゃないのと、思っている。


 遠い遠い、昔の話。
 世界は今より穏やかで、その中心にはひとつの<庭>があった。
 <庭>に座するは、唯一無二にして不可分の、極みに立つ者たち。

 一人は翼持つ大いなる鳥。
 気紛れで快活、よく笑い、よく怒る、火と風とを支配し庇護するもの。

 一人は水脈(みお)導く大いなる海蛇。
 生命の命脈たる水を司り、煮え滾ることも凍てつくこともなき中庸のもの。

 一人は地と木々に連なる大いなる樹。
 落涙も凍る凍土を統べ、しかし同時に、実り多き幸いを静かに望む静謐のもの。

 <三極>の、その蜜月は、永久に続くと誰もが疑わず――。


 風もなく揺れた木漏れ日に、枝へと触れた者がいることを察して、<大樹>は頭上を向いて声を掛けた。
「……イグ?」
 呼びかけに応え、いっそう大きく木々が揺れる。
「コード!」
 返事とほぼ同時に、満面の笑みを浮かべた<翼鳥>が落下してきた。
 <大樹>が腕を差し伸べるより僅かに早く、ふわりと背に淡く揺らめく翼をはばたかせ、<翼鳥>は地へと降り立つ。
 伸ばされかけた手に気づくと、嬉しそうに身を寄せた。
「んふー」
「……いきなり飛びつくなと、言っているだろう……」
「コードが見つけて呼んでくれたから、嬉しくなって、つい」
「…………」
「……お、おこった?」
「……いや」
 沈黙に、笑みを引っ込め、一転して不安げな問いをしながら眉を下げ、しかし、返された否定の一言にまた顔を綻ばせる。
 よく変わる<翼鳥>の表情に内心で少し笑いつつ、<大樹>は小さな溜め息とともに、言葉を継いだ。
「呆れて、いる」
「っ!?」
 途端に慌てだす<翼鳥>は、あたふたと目を泳がせ、口を開け閉めし、また眉尻を下げて、それからほんのり、涙目になる。
「…………」
「……あう」


 ……そんな、どうということもない、些細な日常が永遠に――それこそ世界が終わるまで、続くと思っていた。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。