gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
雨粒がぱたぱたと地を叩く。降り始めてしばらくすると、薄く水を張り始めたそこに、まだ見ぬ断片が映りだした。
水溜まりの先にたゆたうのは、鍾乳石の柱と、彫られ刻まれた文字たちの森。……この書架の国を彷徨っていれば、いずれ辿り着くこともあるのだろうか。
 葉擦れのさざめきで目を覚ます。
 昨夜、見えども掴めぬ書庫の影に振り回され、すっかり困憊して倒れ込んだのは、そんな彷徨を見透かしたかの如きやわらかな寝台……だった、はずだが。
 身じろいだ肌に触れたのは、爽やかな下草の揺れる気配と、夜の名残のような敷布のみだった。
>> leaves
人の想いは途絶えたの 遺るのは神の痛みでしょう?
あなたが誇ることのできないわたしなら、いらない。

きみを失ってしまえるようなわたしなど、いらない。
>> dehyca_code
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
>> memolog
氏族 clan
 ……幻想地球系においては、同じ『神』から始まった信仰を保つ集団を、クラン、氏族、一族、などと呼ぶことが多い。
 ある山岳部の『羽持ち』……星読の神に連なる羽の一族、北の氏族──雪の神に愛される雪花石膏たち、などがそれだ。
 また、氏族のはじまりが神とは別のルーツに拠る場合もある。
書庫はひとつの記述から生まれたという。真偽は定かではない。
長く、幾つもの物語が綴られ、その幾つかは断片として書架へ収められ、別の幾つかはまた異なる断片として書庫の世界に溶けていったそうだ。
そうして、書庫は幻の王国となり、未知に饑(かつ)える旅人を捕らえる魔都となった。
>> ss
その家は防人の裔であった。防人と言っても、かれらが守る境界は人と人とのそれではなく、彼岸と此岸、他界との境である。
いくつもの戦があり、幾年もの時が過ぎ、やがてその家も、僅かばかりの役目を引き継いでゆくばかりになった頃、男児がひとり、家に生まれた。

砦はいまや社殿となり、防人は神職へと変じていた。生まれた子は、幼い砌から防人に足る能力の片鱗を見せてはいたが、それも、今となっては神職としていくらか適性があるだろう、と判断される程度の重要性に過ぎない。──表向きは。
その実、社殿が管轄している鎮守の杜にはまだ、防人を置かねばならぬ諸々の存在があった。
だが生まれた子、少年と呼ぶべき年頃まで育っていた彼は、その旧態依然とした家の有り様に反発する。

そうして、彼、防人である的場の司の当代、奇跡屋の的場屋は、一度『それ』とは袂を分かった事がある。
だから今も、彼は少しばかり斜に構えて、露悪的に振る舞うのだ。かつての無知を嫌悪するように、かつての反発を忘却しないように。

青年はずいぶんと古い時代、とある花街で生まれ育った。と言っても、ただ紛れ込むのに都合が良かったからで、親も自分もそちらの稼業とは縁遠く、時に香や薬を卸すなどしていたくらいだったのだが。

片親のそもそもは常世の生まれでさえなく、もう一方もまた、常人と言うにはいくらか難儀な生まれつきで、だから青年の幼少期もまた、今にしてみれば大概に妙なことになっていた。
それでも青年の育った境遇はそれなりに幸福であったし、愛憎、悲喜、そんなものが飛び交う街の有り様は、彼に常世への好奇と好意を抱かせるに足りるものだった。なので結局、青年は早々に見送ることとなった亡父の墓などを守りつつ、今も常世で暮らしている。
気付けば、人の身で数えられる齢はとうに過ぎている。自分のそれを数えるのも、随分と前に忘れるようになっていた。なんとなく、睡蓮の頃の生まれだったような覚えはあるが、それも今では些末事だろう。

店を変え、時には土地も変え、それなりに楽しく青年は暮らしている。
香(かざ)、と正しく彼の名を口にするものは随分と少なくなったけれど、その分だけさまざまな名で呼ばれるようになった。
それは青年の辿った道筋の証のようでもあるから、これはこれで悪くない、と思うのだ。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。