揺れる水面の奥に書架が深く続いている。分かっていてもつい伸ばした指は、やはりぬるい水に濡れただけだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。
目覚め、覚えのない風景にしばし思考が空回る。見晴るかす草木は初夏の頃といった風。一夜を借り、眠りに落ちたはずの寝室の気配はとうに無い。
……ああまったく、寝ている間さえ『此処』の気まぐれは容赦なく、こう放り出して知らぬ顔だ。
遠く、方向の当たりもつけられぬ遥かどこかで、鐘が隠々と響き渡った。
今日も、書と知を求める放浪が、始まる。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。
目覚め、覚えのない風景にしばし思考が空回る。見晴るかす草木は初夏の頃といった風。一夜を借り、眠りに落ちたはずの寝室の気配はとうに無い。
……ああまったく、寝ている間さえ『此処』の気まぐれは容赦なく、こう放り出して知らぬ顔だ。
遠く、方向の当たりもつけられぬ遥かどこかで、鐘が隠々と響き渡った。
今日も、書と知を求める放浪が、始まる。