gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
 眠い。
 昨夜ふと手に取った本のせいだ。まだ迷い込んだばかりの頃、知らずに翌日また続きを読もうと手放してしまった物語。
 ここは読みかけでも容赦なく行方知れずにして、素知らぬ顔で別の物語を差し出してくる。読み終わってからでなければ危なくて本を戻せない。
 だから最後まで読もうとして――ああ、眠い。
 雨音が林立する棚の隙間を渡る。いつの間に降り出したのだろうか。

 視線を上げると、外は暗く、窓は流れ落ちる水をまとって波打つ暗幕のように揺れていた。
 その揺らぎの中に刹那、書架を兼ねた木々の森が映る。だが駆け寄って伸ばした指にはただ、硝子の冷たさと雨粒の振動が触れるばかり。
 見えども到れぬ書庫の樹海、新たな断章の宝庫にまた行き損なったことを理解して、ため息とともに机へ戻る。

 ついさっきまで読み進めていた紙片がそこから消えている現実に直面し、いっそうの落胆に襲われるのは、直後のこと。
 ああ、本当に、ここでは何一つ確かなものなどないのだろう。
>> leaves
「アクティブに腐ってやがる……」
「……アクティブ……?」
世界に爪立て生命を嘆き、全てを呪うその前に。
譲れぬ想いを強く刻んで、
楽園などなくても構わないと
幼い頃に見た夢を 泣きながら紡いだその願いを
光に向かって投げ棄ててしまおう。
楽園など今はもう 望む必要はないのだと。
笑って。
此処に在る祈りだけが救いだと。
>> dehyca_code
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
>> memolog
書庫はひとつの記述から生まれたという。真偽は定かではない。
長く、幾つもの物語が綴られ、その幾つかは断片として書架へ収められ、別の幾つかはまた異なる断片として書庫の世界に溶けていったそうだ。
そうして、書庫は幻の王国となり、未知に饑(かつ)える旅人を捕らえる魔都となった。
+忘れそうなので。
今の内に残しておこうと思いました。キャラ設の下書き。香籠さんです。
職業は香屋。普通の量産系アロマグッズや、京系?って言うんですか、アロマというより香という感じの、和なイメージのアロマグッズを取り扱っています。その他には香水とか、アロマテラピー系の(本職さん向けな)品物もあり。
これでそこそこの収入がありますが、最大の稼ぎはオールオーダーメイドの調香。
因みに、元々は『アロマ』ではなく『香』の方のプロ。まぁ現実世界で言うと明治とかの育ちだからなぁこのヒト。
奇跡屋のほうも職歴は古く、香屋として独立した頃に同時開業したみたい。
母親は兇鬼の香散見草、父親は人間。で、香散見草の血のみならず、彼女の血に混ざっている得鳥羽月の血もきっちりと継いでおり、どちらかといえば得鳥羽月の能力の方が強いです。だから香と同時に風も使える。
香を媒体とした心身の操作は香散見草、風は得鳥羽月、んーで『路』や気配を視る眼は父親、って感じに能力が全部発現した稀有な混血ですね。
夫婦仲が良かったからか、人間にも鬼族にも悪感情を持っていない点も混血には珍しい。ただ涯の導に目ぇつけられてるし、異形狩りの頃とかにも生きているから、好意を持っているのかというとビミョウではある。
人界は好いてます。だから人間寄りの場所にいるって事はあるね。
詮索を嫌う辺りとかで過酷な幼少期だった感じもしますが、ああ見えて育ちはよろしいので、母親である香散見草が相手だと敬語です。周りの方々は結構驚くんだけどね、奴が仕事抜きに敬語で話してると。
あと、ウチの実力者には珍しく女好き。いや、他人への興味が強いというか、接触に抵抗がないというか、冷邏とか鎬とか亘璃とかと比較すればの話なんですが、とにかく真っ当な構造の持ち主です。
父親が死ぬまでは両親との3人暮らしをしていて、その頃に香の扱いを覚えた。んーで、父親が死んだ直後に母親と離別、指導を受けていた香屋さんのところに住み込みで就職して独立。その後はあっちこっち転々としていた模様です。
涯の導つながりで予想外の母子再会を果たした後は、たまに連絡をとって顔をあわせたりするようになって、最終的には昔使っていた家へと戻って共同生活を始める。
性格としては、普段は何も言われないうちから周囲の意図を汲んで行動するタイプ。をや、これもウチとしては稀少な気がしますよ。機嫌が悪い時は、面と向かって要求されるまで何もしません。冷邏の逆タイプだと思えば良いのか。つまり気を回しすぎて消耗するか、あるいは気が利かないとかで衝突して疲れるかなら、腹ん中じゃ後者の方が楽だと思ってるヒトじゃないかと思われます。
>> ss
迷いは刹那。いままで常に、自分は「なんとなく」としか言いようのない、確信のような、直感的な感覚に従って、逡巡を振り払ってきた。
今回のこれも、ならば同じ。

倒れるセイバーに目を向けて、短く喉から呼気を押し出すと、『わたし』はプロセスの優先度を大幅に切り替えていく。

感情類推、表情の調整、願望の読み取りとミラーリング……それらの対人項目を次々に落とし、空いた演算領域に高速で情報を流し、差し込む。
各員の配置、得物の有効射程、手持ち戦力の損耗具合と稼働率。

「マ…スター」
膝を突いたサファイアのセイバーがわたしを呼ぶ。
「うん」
短く応答して、ターゲットから距離を稼ぐように指示。
「下がって。ここまで射線を通してください」

言い捨てるようにそれだけ告げて、『わたし』は、さらに演算領域を絞り込んだ。

ターゲット…犬とも狼ともつかない巨躯の星喰い。

それだけを、演算領域に取り込んで、見据える。
 遠い遠い、昔の話。
 世界は今より穏やかで、その中心にはひとつの<庭>があった。
 <庭>に座するは、唯一無二にして不可分の、極みに立つ者たち。

 一人は翼持つ大いなる鳥。
 気紛れで快活、よく笑い、よく怒る、火と風とを支配し庇護するもの。

 一人は水脈(みお)導く大いなる海蛇。
 生命の命脈たる水を司り、煮え滾ることも凍てつくこともなき中庸のもの。

 一人は地と木々に連なる大いなる樹。
 落涙も凍る凍土を統べ、しかし同時に、実り多き幸いを静かに望む静謐のもの。

 <三極>の、その蜜月は、永久に続くと誰もが疑わず――。


 風もなく揺れた木漏れ日に、枝へと触れた者がいることを察して、<大樹>は頭上を向いて声を掛けた。
「……イグ?」
 呼びかけに応え、いっそう大きく木々が揺れる。
「コード!」
 返事とほぼ同時に、満面の笑みを浮かべた<翼鳥>が落下してきた。
 <大樹>が腕を差し伸べるより僅かに早く、ふわりと背に淡く揺らめく翼をはばたかせ、<翼鳥>は地へと降り立つ。
 伸ばされかけた手に気づくと、嬉しそうに身を寄せた。
「んふー」
「……いきなり飛びつくなと、言っているだろう……」
「コードが見つけて呼んでくれたから、嬉しくなって、つい」
「…………」
「……お、おこった?」
「……いや」
 沈黙に、笑みを引っ込め、一転して不安げな問いをしながら眉を下げ、しかし、返された否定の一言にまた顔を綻ばせる。
 よく変わる<翼鳥>の表情に内心で少し笑いつつ、<大樹>は小さな溜め息とともに、言葉を継いだ。
「呆れて、いる」
「っ!?」
 途端に慌てだす<翼鳥>は、あたふたと目を泳がせ、口を開け閉めし、また眉尻を下げて、それからほんのり、涙目になる。
「…………」
「……あう」


 ……そんな、どうということもない、些細な日常が永遠に――それこそ世界が終わるまで、続くと思っていた。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。