ゆらりと壁の灯火が影を揺らす。その刹那に、床の影が文字を綴る。これは流石に、読み取れない。
書、あるいは頁の形に留められ、触れることのできる記録は幾許(いくだ)もなく……しかしそれですら読み切るには多すぎるだろう。
それでも、書架を巡る足取りが止むことはない。
うつらうつら、夢を見た。誰かの指先が踊っている。綴られゆく記述はよく見えない。
手が止まり、最後の点がひとつ置かれると、真新しい紙が舞い上がる。
ああこれは書架の始まり、迷宮の回想だ……あの手は指は、果たして何を語り紡いだのだろうか。とりとめない思いは紙吹雪に呑まれて溶けた。
書、あるいは頁の形に留められ、触れることのできる記録は幾許(いくだ)もなく……しかしそれですら読み切るには多すぎるだろう。
それでも、書架を巡る足取りが止むことはない。
うつらうつら、夢を見た。誰かの指先が踊っている。綴られゆく記述はよく見えない。
手が止まり、最後の点がひとつ置かれると、真新しい紙が舞い上がる。
ああこれは書架の始まり、迷宮の回想だ……あの手は指は、果たして何を語り紡いだのだろうか。とりとめない思いは紙吹雪に呑まれて溶けた。