目覚め、覚えのない風景にしばし思考が空回る。見晴るかす草木は初夏の頃といった風。一夜を借り、眠りに落ちたはずの寝室の気配はとうに無い。
……ああまったく、寝ている間さえ『此処』の気まぐれは容赦なく、こう放り出して知らぬ顔だ。
遠く、方向の当たりもつけられぬ遥かどこかで、鐘が隠々と響き渡った。
今日も、書と知を求める放浪が、始まる。
閉じた本を書架に戻す。落丁は多かったが、大筋は追いやすい一冊だった。久方ぶりの充足感。
息をひとつ、思わず酷使した目を閉じてしまえば、あとはいつもの気紛れだ。……ああ、これはまた、意地の悪い。
予感に従って開いた視界に差し込むのは、疲れの溜まった目に眩しい木漏れ日。その影に、ちらちらと文字が踊っては消えていた。
……ああまったく、寝ている間さえ『此処』の気まぐれは容赦なく、こう放り出して知らぬ顔だ。
遠く、方向の当たりもつけられぬ遥かどこかで、鐘が隠々と響き渡った。
今日も、書と知を求める放浪が、始まる。
閉じた本を書架に戻す。落丁は多かったが、大筋は追いやすい一冊だった。久方ぶりの充足感。
息をひとつ、思わず酷使した目を閉じてしまえば、あとはいつもの気紛れだ。……ああ、これはまた、意地の悪い。
予感に従って開いた視界に差し込むのは、疲れの溜まった目に眩しい木漏れ日。その影に、ちらちらと文字が踊っては消えていた。