透き通った空気がゆったりと空へ帰ってゆく。書架の国は気紛れに季節を変えてゆくが、今日は冬の気分なのだろうか、上着を羽織ってもやや肌寒い。どこか建物はないかと城跡をしばし歩くが、見つかったのは古い四阿だけだった。野ざらしよりはましかどうか。近づけば、紙片がそっと置かれていた。
雨粒がぱたぱたと地を叩く。降り始めてしばらくすると、薄く水を張り始めたそこに、まだ見ぬ断片が映りだした。
水溜まりの先にたゆたうのは、鍾乳石の柱と、彫られ刻まれた文字たちの森。……この書架の国を彷徨っていれば、いずれ辿り着くこともあるのだろうか。
雨粒がぱたぱたと地を叩く。降り始めてしばらくすると、薄く水を張り始めたそこに、まだ見ぬ断片が映りだした。
水溜まりの先にたゆたうのは、鍾乳石の柱と、彫られ刻まれた文字たちの森。……この書架の国を彷徨っていれば、いずれ辿り着くこともあるのだろうか。