薄く朝日を透かした硝子の先から、遠く何かの鳥が鳴く。昼も夜もなく断章を追い、語られず散逸した世界の名残を追う日々にも、時折こうして朝はくるのだった。
まだ少しぼやける目であたりを見やれば、簡素な寝台はそのままに、見覚えのない華奢なテーブルがひとつ部屋に増えている。置かれているのは軽く焼き目の付いたパンとティーポット。
書痴の亡霊となってから、はて幾度目の食事であろう。いつしか忘れていたその習慣。……自分もまた、この王国の機構になりつつあるのだろう。
密やかに、高く遠く鐘が響く。顔を上げて辺りを見回せば、ついぞ辿り着く順路を明らかに出来なかった、古めかしい鐘楼が目に入った。
椅子を立ち、一歩。
不意に、響く音は途切れ、またたいた視界には静かな温室と花の色が映る。振り返るが、いた筈の四阿はもう、読みかけの断章を置いたまま消えていた。
まだ少しぼやける目であたりを見やれば、簡素な寝台はそのままに、見覚えのない華奢なテーブルがひとつ部屋に増えている。置かれているのは軽く焼き目の付いたパンとティーポット。
書痴の亡霊となってから、はて幾度目の食事であろう。いつしか忘れていたその習慣。……自分もまた、この王国の機構になりつつあるのだろう。
密やかに、高く遠く鐘が響く。顔を上げて辺りを見回せば、ついぞ辿り着く順路を明らかに出来なかった、古めかしい鐘楼が目に入った。
椅子を立ち、一歩。
不意に、響く音は途切れ、またたいた視界には静かな温室と花の色が映る。振り返るが、いた筈の四阿はもう、読みかけの断章を置いたまま消えていた。