gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
梢の葉擦れに耳を叩かれ、上げた視界には書架の森。この王国はまったく気まぐれだ。手にした本に目を落とした一瞬で、並んでいた本棚たちは、洞(うろ)に書を収めた木々へと風景を一変させる。よく見れば、木漏れ日もまた文字を綴り、地面にまで書架を作ろうとしていた。
いつも通り放浪は続く。
 朽ちた祭壇に、真新しい本。
 絹張りか、艶やかに光を照り返す表紙が、斜陽の空間に君臨している。ただ、そこに記されていたはずの表題は、ない。

 手にとって見れば、枯れた金色が点々と残されて、赤みを帯び始めた空の色に染まっていた。
 箔押しされていた文字はどうやら、先に立ち去っていったらしい。
>> leaves
殺す事と生きる事が同義なら。
世界に爪立て生命を嘆き、全てを呪うその前に。
譲れぬ想いを強く刻んで、
楽園などなくても構わないと
幼い頃に見た夢を 泣きながら紡いだその願いを
光に向かって投げ棄ててしまおう。
楽園など今はもう 望む必要はないのだと。
笑って。
此処に在る祈りだけが救いだと。
>> dehyca_code
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
>> memolog
†えっちゃんと梅枝
梅のほう的には「好き嫌いは置いといて、とりあえず機会が来ればコロス」くらいの意識。
えっちゃんとしては「思ったよりガチでアウトだったみたいだからそっとしておいてやろう」みたいな感じ。

梅のそれが単なる虚勢なら、えっちゃんは鼻で笑って、やってみろよ?って煽るとこなんだけど、奴はわりとガチンコでやる気なのです。ちょっと噛みつかれるくらいなら楽しむ得鳥羽月ですが、喉笛を噛み切る気でくる相手はちょっとノーセンキュー。
そんなこんなで、おもしろ半分に不意打ちで血を食わせたあとは、梅枝の確たる殺意を察してそっと距離を取っている得鳥羽月でした。
好き嫌いでいうと、わりと好きなやつだなコレ、と思っている。

梅枝も、不意打ちへのケジメとして「とりあえずコロス」と決めてはいるものの、好き好んで皇鬼に殴りかかるほどやけっぱちな訳ではないので、会わないならそれに越したことはないと思っている。
そして別に嫌いなわけでもないというか、好き嫌いを判断するほど知り合ってもいないしなあ、って思っている。

実力差からして、どれだけ好条件が揃っても、梅枝が得鳥羽月を葬るのは不可能だけども、そのくらいの気合いで仕掛ければ手傷は負わせてやれる、というくらい?
「死んでもいいから殺す気でやる。コロス。」な梅枝と、「さすがにそれは面倒くさい」なえっちゃんと。
書庫はひとつの記述から生まれたという。真偽は定かではない。
長く、幾つもの物語が綴られ、その幾つかは断片として書架へ収められ、別の幾つかはまた異なる断片として書庫の世界に溶けていったそうだ。
そうして、書庫は幻の王国となり、未知に饑(かつ)える旅人を捕らえる魔都となった。
>> ss
夜明けの藍色を見ると死にたくなる、少年はそういった人種だった。億劫そうに、欠伸と共に放り投げたその言葉は、べつに拾われなくとも構わないと、理解や共感を諦めて吐き出したものだ。
同情も憐憫も願い下げで、その場しのぎの慰めなどには反吐が出る。そうやって斜に構え、薄甘い馴れ合いを拒絶して、そうしてひとり、つまらない最後に行き着くのだろうと思って生きていた。

彼の横でぼんやり空を見ていた相手が、夕焼けを見ると消えたくなるという奴を知っている、と笑うまでは。

独りである、という点で同じ、空を見るたび死を思う誰かが、どこかにいる。
また面倒な人間もいるものだ、と、皮肉って笑い、しかし宮良慧という少年は、それで少しだけ報われた。

相変わらず夜明けにうんざりしながら、少年は今日も夕焼けを眺めて、少し笑う。
きっと今どこかで消えたくなっている誰か。そこに自分の話も届いて、きっと少し笑っているだろう。笑っているならいいだろうと。
どうしようもない世界で彼は、このごろ少しだけ、空に祈るようになっている。
青年はその昔、参拝者で賑わう冬の町を、震えながら歩いていた。さむかった、とぼんやり思い返す、幼い日の記憶だ。
浮き立った空気、祝辞に溢れた店先、誰もが暖かく幸せそうに笑う晴れの日に、笑うことも泣くことも出来ず、震えていた。

どこをどう辿ってそこへ行き着いたのかは、はっきりしない。

焚かれた炎がひどく眩しく、独特の甘い匂いがとても優しそうに思えて、もう回らなくなっていた頭と歩き疲れた足で、ふらふら誘われていったのは何となく記憶にある。
不思議と、境内には人がいなかった。ここはきっと、自分のような『幸せそうでない』ものがいても大丈夫なのだと、安堵する。
詰めていた息を吐き出した時、鼻先を、ほんの一瞬だけ掠めた香りがあった。
今ならそれも、梅の花、蝋梅の香りだと分かるが、当時はただ、穏やかな匂い、と感じたくらいだった、だろうか。
ひどく気になってあちこち見回し、人影を見つけた瞬間のことは、覚えている。
…ああこのひとだ、と、確信した。

たどたどしく、『きれいな花のにおい』がしたことから、どこへも行けない、帰れないことまで、一切を話し…そうして、正月の迷子は、救われた。

撫玲香、と屋号を決めた青年は、もう笑って新年を迎えられる。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。