揺れる水面の奥に書架が深く続いている。分かっていてもつい伸ばした指は、やはりぬるい水に濡れただけだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。
ここに管理者のような存在がいるのかは、定かではない。物音や人影と出会うことはあったが、対面したことはついぞなかった。
だが折に触れ、開いた戸口の先には、食事や寝所が整えられ、使えとばかり待ち構えている。大抵はその後、有価物や編纂中の資料が、手許からふといなくなるのだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。
ここに管理者のような存在がいるのかは、定かではない。物音や人影と出会うことはあったが、対面したことはついぞなかった。
だが折に触れ、開いた戸口の先には、食事や寝所が整えられ、使えとばかり待ち構えている。大抵はその後、有価物や編纂中の資料が、手許からふといなくなるのだった。