薄く朝日を透かした硝子の先から、遠く何かの鳥が鳴く。昼も夜もなく断章を追い、語られず散逸した世界の名残を追う日々にも、時折こうして朝はくるのだった。
まだ少しぼやける目であたりを見やれば、簡素な寝台はそのままに、見覚えのない華奢なテーブルがひとつ部屋に増えている。置かれているのは軽く焼き目の付いたパンとティーポット。
書痴の亡霊となってから、はて幾度目の食事であろう。いつしか忘れていたその習慣。……自分もまた、この王国の機構になりつつあるのだろう。
揺れる水面の奥に書架が深く続いている。分かっていてもつい伸ばした指は、やはりぬるい水に濡れただけだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。
まだ少しぼやける目であたりを見やれば、簡素な寝台はそのままに、見覚えのない華奢なテーブルがひとつ部屋に増えている。置かれているのは軽く焼き目の付いたパンとティーポット。
書痴の亡霊となってから、はて幾度目の食事であろう。いつしか忘れていたその習慣。……自分もまた、この王国の機構になりつつあるのだろう。
揺れる水面の奥に書架が深く続いている。分かっていてもつい伸ばした指は、やはりぬるい水に濡れただけだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。