朽ちた祭壇に、真新しい本。
絹張りか、艶やかに光を照り返す表紙が、斜陽の空間に君臨している。ただ、そこに記されていたはずの表題は、ない。
手にとって見れば、枯れた金色が点々と残されて、赤みを帯び始めた空の色に染まっていた。
箔押しされていた文字はどうやら、先に立ち去っていったらしい。
梢の葉擦れに耳を叩かれ、上げた視界には書架の森。この王国はまったく気まぐれだ。手にした本に目を落とした一瞬で、並んでいた本棚たちは、洞(うろ)に書を収めた木々へと風景を一変させる。よく見れば、木漏れ日もまた文字を綴り、地面にまで書架を作ろうとしていた。
いつも通り放浪は続く。
絹張りか、艶やかに光を照り返す表紙が、斜陽の空間に君臨している。ただ、そこに記されていたはずの表題は、ない。
手にとって見れば、枯れた金色が点々と残されて、赤みを帯び始めた空の色に染まっていた。
箔押しされていた文字はどうやら、先に立ち去っていったらしい。
梢の葉擦れに耳を叩かれ、上げた視界には書架の森。この王国はまったく気まぐれだ。手にした本に目を落とした一瞬で、並んでいた本棚たちは、洞(うろ)に書を収めた木々へと風景を一変させる。よく見れば、木漏れ日もまた文字を綴り、地面にまで書架を作ろうとしていた。
いつも通り放浪は続く。