gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
雨粒がぱたぱたと地を叩く。降り始めてしばらくすると、薄く水を張り始めたそこに、まだ見ぬ断片が映りだした。
水溜まりの先にたゆたうのは、鍾乳石の柱と、彫られ刻まれた文字たちの森。……この書架の国を彷徨っていれば、いずれ辿り着くこともあるのだろうか。
 ほそい背表紙がふと目に入る。これも縁と、忘れ去られたような小部屋に積まれていた本から、その一冊を取り出した。
 落丁、意味の通らない書き付け、欠けた記述。断章を拾い上げていくと、紙面を滑って何かが手の中へ落ちてくる。古びた栞。

 枯れ葉色をしたその遺産は、先達からの夢路の跡だろうか。
>> leaves
笑う貴方はいつだって穏やかだ
そう評された控えめな微笑

全く同じ笑みを見て
ああこれは冷笑と失笑をごまかした笑いだな、と僕は苦笑した。

夢の数だけ 僕は強くなる
思い出の分だけ 僕は強くなろう

いくつかの 楽しい事と嬉しい事
唄って
歌って
明日のために また眠ろう

君と共にある未来 祈って

笑って
>> dehyca_code
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
>> memolog
†えっちゃんと梅枝
梅のほう的には「好き嫌いは置いといて、とりあえず機会が来ればコロス」くらいの意識。
えっちゃんとしては「思ったよりガチでアウトだったみたいだからそっとしておいてやろう」みたいな感じ。

梅のそれが単なる虚勢なら、えっちゃんは鼻で笑って、やってみろよ?って煽るとこなんだけど、奴はわりとガチンコでやる気なのです。ちょっと噛みつかれるくらいなら楽しむ得鳥羽月ですが、喉笛を噛み切る気でくる相手はちょっとノーセンキュー。
そんなこんなで、おもしろ半分に不意打ちで血を食わせたあとは、梅枝の確たる殺意を察してそっと距離を取っている得鳥羽月でした。
好き嫌いでいうと、わりと好きなやつだなコレ、と思っている。

梅枝も、不意打ちへのケジメとして「とりあえずコロス」と決めてはいるものの、好き好んで皇鬼に殴りかかるほどやけっぱちな訳ではないので、会わないならそれに越したことはないと思っている。
そして別に嫌いなわけでもないというか、好き嫌いを判断するほど知り合ってもいないしなあ、って思っている。

実力差からして、どれだけ好条件が揃っても、梅枝が得鳥羽月を葬るのは不可能だけども、そのくらいの気合いで仕掛ければ手傷は負わせてやれる、というくらい?
「死んでもいいから殺す気でやる。コロス。」な梅枝と、「さすがにそれは面倒くさい」なえっちゃんと。
+病みたる皇鬼の矜持。
 鬼の基本として、戦闘能力至上主義があるわけです。対人能力とか知識とかでも価値はつくんだけど、それらは戦闘能力でつけられたポイントを補強する程度の効果しかない。
 まぁ、かといって喧嘩が強けりゃ性格が最低でもいいのかっていうと、やっぱ従属したくなる相手は礼儀とか弁えてる奴に限るらしいけど。

 んで、得鳥羽月がどうなのよっていうと、えっちゃんは破滅的に実力主義を無視する節がある為、絶望的に異端扱いされる。いや実際にあらゆる振る舞いが異端なんだけどさ。
 奴が普通の実力主義をモットーにしていたら、自分と同等以上ないし同等に限りなく近い相手以外に対しては、従属させるか、従属までしなくても格下として一段も二段も下からの態度をとらせるか、どっちかしてないとおかしいのな。
 ところが果の月は種族的にも実力的にも間違いなく格下なのに、ずかずかと邸に踏み込んでくるし得鳥羽月を対等の友人として扱う。そこんとこ見る限り、えっちゃんは基本事項ガン無視です。

 しかして、彼の皇鬼を知る連中は口をそろえて「死んでもあれの矜持には傷をつけるな」と真顔で言います。

 じゃあ奴の矜持って何、つーと。
 やっぱ実力主義なんだよなー。

 第一に、自他の能力差を正確に把握する。第二に、把握した力量差を正直に認める。んで第三に、それを忘れない。つまり従属こそ求めないけれど、能力は分かっとかないとアウトって感じ。
 だから舐めてかかって喧嘩売った輩や、実力を過小評価した輩や、何を仕掛けても怒られないと勘違いした輩は、ことごとく徹底的に潰されます。ご注意。
 従属を求めるか否か、それと評判を気にするかどうか、以外は、得鳥羽月の矜持って真っ当です、実は。

 でも、従属を求めたり主従関係の情を大事にしたりって、鬼として超重要な気質だから、そこが狂ってる得鳥羽月はそれだけで決定的におかしいんですけどね……。
>> ss
少年はとある暑い国で生まれた。それ以上のことはもう誰も知らない。少し気合いを入れて遠出をすれば熱砂が吹きすさぶような土地で、めいめいから好き勝手に呼ばれてきた。
かつてどんな名前だったのかも、もう誰も知らない。あるいはそもそも、無かったのだろう。
少年も、べつに興味はなかったので、今はもう誰がどう『彼』を呼んでいたのかなど、すっかりと忘れてしまっている。
何番目とか、オモチャとか、そこのチビとか、そんなような、たわいもない呼びかただったような気はするけれども。

けっきょく、今も彼に名前はない。けれどもまあ、マイスターとか、絡繰屋とか、なんとなく彼が気に入ったもので呼んでもらえるものだから、いいんじゃないのと、思っている。


青年はその昔、参拝者で賑わう冬の町を、震えながら歩いていた。さむかった、とぼんやり思い返す、幼い日の記憶だ。
浮き立った空気、祝辞に溢れた店先、誰もが暖かく幸せそうに笑う晴れの日に、笑うことも泣くことも出来ず、震えていた。

どこをどう辿ってそこへ行き着いたのかは、はっきりしない。

焚かれた炎がひどく眩しく、独特の甘い匂いがとても優しそうに思えて、もう回らなくなっていた頭と歩き疲れた足で、ふらふら誘われていったのは何となく記憶にある。
不思議と、境内には人がいなかった。ここはきっと、自分のような『幸せそうでない』ものがいても大丈夫なのだと、安堵する。
詰めていた息を吐き出した時、鼻先を、ほんの一瞬だけ掠めた香りがあった。
今ならそれも、梅の花、蝋梅の香りだと分かるが、当時はただ、穏やかな匂い、と感じたくらいだった、だろうか。
ひどく気になってあちこち見回し、人影を見つけた瞬間のことは、覚えている。
…ああこのひとだ、と、確信した。

たどたどしく、『きれいな花のにおい』がしたことから、どこへも行けない、帰れないことまで、一切を話し…そうして、正月の迷子は、救われた。

撫玲香、と屋号を決めた青年は、もう笑って新年を迎えられる。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。