ライブラリ、ライブラリ、ライブラリ…。
どこかで音なき声が優雅に歌う。
ライブラリ、それが果たして何を指すのか、見えず聞こえず触れられない、幻の歌い手は、いつも答だけは告げずにどこかへ去ってゆく。
ライブラリ──図書館、蔵書、作品集…あるいは関数群。
揺れる水面の奥に書架が深く続いている。分かっていてもつい伸ばした指は、やはりぬるい水に濡れただけだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。
どこかで音なき声が優雅に歌う。
ライブラリ、それが果たして何を指すのか、見えず聞こえず触れられない、幻の歌い手は、いつも答だけは告げずにどこかへ去ってゆく。
ライブラリ──図書館、蔵書、作品集…あるいは関数群。
揺れる水面の奥に書架が深く続いている。分かっていてもつい伸ばした指は、やはりぬるい水に濡れただけだった。
決して届かない本たちを映したそれが、せせら笑うように波立った。
悔し紛れに思い切り手を差し入れ、掻き回して波紋を広げると、何かが触れる。
おっかなびっくり掴んで引き上げた手のひらに、濡れてにじんだページが張り付いてきた。
……読めない。余計に悔しい思いをしただけの出来事だった。