gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
 夜半、ゆるやかに自我が浮かび上がって眠りから覚める。サイドチェストに置いた筈の小冊子はもう消えていた。
 かわりにやってきていたランタンが、小さく火影を揺らして、方々に影の筆を踊らせている。この寝室に書き付けられた影文たちも、夜明けと共に去っていく断章なのだろう。
 鳥の影がいっせいに羽ばたき陽を陰らせた。重なり奏でられた羽音は葉音にも雨音にも似ている。まばたきも覚束ない眠り目に、その影たちのくれた遮光幕はたいへん有り難い。
 午睡への強い誘惑、ようやっと手にした二度目の書への執着。ふらふら両の欲求に翻弄され…気付けば眠りに落ちていた。
>> leaves
「アクティブに腐ってやがる……」
「……アクティブ……?」
あなたの中から零れ落ちた言の葉
それはいつも
この心の表層を滑り落ちてゆく言の端

一向に耳へも頭へも記憶へも落ちない

それは
そのあまりの軽さ故にだろうか
それとも
そのあまりの空虚さ故だろうか
>> dehyca_code
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
>> memolog
+解消人制度
下級と中級は申請すれば通る感じで、上級は審査が入る。で、特級は審査の上で個体情報の登録が必要。
審査内容は業務に関わりが深い分野の法律知識、レベルは大陸法くらい分かってれば良くて地方レベルまでは不要かなぁ。戦闘メインの業務内容で申請すると実技チェックが入る場合あり。
個体情報は魔力波長が分かれば良し。多いのは微量の血液、自力で波長モデルを生成できる連中は結晶化した魔力、を管理担当に提出です。呪詛られるリスクがあるので提出窓口は厳密に管理。
いずれの等級も定期的な業務報告が必須で、登録時に管理番号の振られた迷子札(違)を授与される。
特級のみ全情報管理が大統府管轄、あとは各地方が大統府からの委託って形で処理してるっぽい。武器の購入や出入国で管理番号を控えられる事はあるけど、日常生活では殆ど使わないしチェックもないから二重登録とかは割と良くある話。
冷邏は中級の輸送業で一個、特級の異種交渉及び法術戦闘で一個。堕栗花は公式だと医療関係者として下級登録、だけど特務がらみとかで動く時には特級登録の情報使ってる。退位後の鬼暗は地元用に下級、でかいヤマ用に上級を別申請して使い分け。
登録のメリットは、武器購入だの出入国だのがスムーズになる、仕事の斡旋が受けられる、役所関係の手続きを一部代行してもらえる、とか。
デメリットは、下手に動くと行動履歴が丸分かりになる、登録情報の照会とか業務報告とかが必要になると数日足止めされる、ってな所?
適用範囲はエレボス大陸全土の全種族、規定は大陸法の管轄、主管は総括府。
†えっちゃんと梅枝
梅のほう的には「好き嫌いは置いといて、とりあえず機会が来ればコロス」くらいの意識。
えっちゃんとしては「思ったよりガチでアウトだったみたいだからそっとしておいてやろう」みたいな感じ。

梅のそれが単なる虚勢なら、えっちゃんは鼻で笑って、やってみろよ?って煽るとこなんだけど、奴はわりとガチンコでやる気なのです。ちょっと噛みつかれるくらいなら楽しむ得鳥羽月ですが、喉笛を噛み切る気でくる相手はちょっとノーセンキュー。
そんなこんなで、おもしろ半分に不意打ちで血を食わせたあとは、梅枝の確たる殺意を察してそっと距離を取っている得鳥羽月でした。
好き嫌いでいうと、わりと好きなやつだなコレ、と思っている。

梅枝も、不意打ちへのケジメとして「とりあえずコロス」と決めてはいるものの、好き好んで皇鬼に殴りかかるほどやけっぱちな訳ではないので、会わないならそれに越したことはないと思っている。
そして別に嫌いなわけでもないというか、好き嫌いを判断するほど知り合ってもいないしなあ、って思っている。

実力差からして、どれだけ好条件が揃っても、梅枝が得鳥羽月を葬るのは不可能だけども、そのくらいの気合いで仕掛ければ手傷は負わせてやれる、というくらい?
「死んでもいいから殺す気でやる。コロス。」な梅枝と、「さすがにそれは面倒くさい」なえっちゃんと。
>> ss
女は、長らく仕えるべき主君を見いだせずに生きてきた。生きるに当たって必ずしも、あるじが要るというわけではなかったが、家にも属さず、かといって、鬼の理、同胞の掟に背き離れるわけでもなく、独りでいる…というのは、鬼としては異端であったし、女自身、物足りない心持ちもある。

生まれた家は疾うに疎遠になっていたし、家に縛られる、というのはあまり性に合わなかった。さて、どこかに大きな家は構えず、ささやかな暮らしぶりの大君はおらぬものか、などと思案しつつ暮らすこと幾星霜。

うっかり、本当にうっかり、女が死にかけたのは、そんな長閑な放浪にもいくらか飽いてきた頃のことだった。その先で、彼女は唯一無二の主君と定める鬼に出会う。
月魄の最も美しい精髄だけで織り上げたような麗姿、およそ越える者などおるまいと思われる力。理の外にあってなお皇鬼の冠を戴く、離鬼に。
死にかけの障鬼を気紛れに拾い、承諾もなく血から力を押し込んで、結果的に女の命を救った、その離鬼に、彼女は迷いなく膝を折った。離鬼は理の外に在るもの、配下など持たぬと知ってなお、道具で構わぬと、その足許に額付いた。

それが香散見草と得鳥羽月の関係である。
シナモンの皮をくるくる丸めて棒にしたら、食べやすい大きさに切ってから、溶かした寒天にとぷんと沈める。それをゆっくり冷やして固めて、じんわり水分を飛ばして乾燥を待とう。ときどき月にさらすのを忘れずに。シナモンと寒天がほどよく混ざり、カラっと乾けば黄色いトパーズの出来上がり。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。