薄く朝日を透かした硝子の先から、遠く何かの鳥が鳴く。昼も夜もなく断章を追い、語られず散逸した世界の名残を追う日々にも、時折こうして朝はくるのだった。
まだ少しぼやける目であたりを見やれば、簡素な寝台はそのままに、見覚えのない華奢なテーブルがひとつ部屋に増えている。置かれているのは軽く焼き目の付いたパンとティーポット。
書痴の亡霊となってから、はて幾度目の食事であろう。いつしか忘れていたその習慣。……自分もまた、この王国の機構になりつつあるのだろう。
開いた本。
中には、つい数日前に手を伸ばそうとした本の、同じ世界の、いつかどこかで、が納められた別の物語の断章たちが眠っている。
ぱらと流して、あきらめた。この解読は取り掛かるには早すぎる。
ふと揶揄する声が「ライブラリ、だからな」と夜気を踊らせた。
「コメントの欠けたライブラリ、関数群」
ここは《図書館》なんて可愛いものじゃない。
コメントもドキュメントもないぐちゃぐちゃな関数の集まった《関数群》が「ライブラリ」なのだ。
使ってみないと分からない、中を見てみないと理解できない、そういうものの巣窟。
まだ少しぼやける目であたりを見やれば、簡素な寝台はそのままに、見覚えのない華奢なテーブルがひとつ部屋に増えている。置かれているのは軽く焼き目の付いたパンとティーポット。
書痴の亡霊となってから、はて幾度目の食事であろう。いつしか忘れていたその習慣。……自分もまた、この王国の機構になりつつあるのだろう。
開いた本。
中には、つい数日前に手を伸ばそうとした本の、同じ世界の、いつかどこかで、が納められた別の物語の断章たちが眠っている。
ぱらと流して、あきらめた。この解読は取り掛かるには早すぎる。
ふと揶揄する声が「ライブラリ、だからな」と夜気を踊らせた。
「コメントの欠けたライブラリ、関数群」
ここは《図書館》なんて可愛いものじゃない。
コメントもドキュメントもないぐちゃぐちゃな関数の集まった《関数群》が「ライブラリ」なのだ。
使ってみないと分からない、中を見てみないと理解できない、そういうものの巣窟。