gottaNi ver 1.1

 名前のない世界、遍在し点在する場所に、その《ライブラリ》は在る。あるいは、その《ライブラリ》が世界として、在る。
 洋館、宮殿、塔、洞窟、温室、テラス、庭園、地下室、トンネル、廊下、天空、水底――あらゆる場所につながり、あらゆる場所から繋がり、あらゆる場所とつながった『それ』は、時には整然と本棚の並んだ図書館であり、時には読みかけの本ひとつを残して忘れられた小部屋であり、時にはページの切れ端を敷き詰めた花道であった。
 散らかった物語の破片を収めて、今日も《ライブラリ》は、誰かとつながる。
>> lib_fragments
 ひそりと、足取りに似た物音が耳をかすめて消えた。背表紙を辿るのに没頭していた思考が引き戻される。──気配が行き合いこそすれ、決して出会うことのない誰か。
 ああ貴方もか、と知らぬ誰かに微笑んだ。

 くる日もくる日も……狂うまで、我々はこの書痴の樹海をひとり彷徨い歩くのだろう。
今日はゆるゆると時が過ぎる。白でまとめられた瀟洒な書斎にまだ夜は来ない。はて、昼はもう過ぎただろうかと窓を見やるも、日は高く、どうやらこの王国の時間は亀の歩みという気分らしかった。
それならそれで、断章を読み集めるにはちょうど良い。日が落ち眠りの使いが来るまで書に浸ろう。
>> leaves
「このヘビモドキがっ!」
「……何? それ」
「アホ大将。」
「ああ、似てる似てる。アオダイショウっぽいアオダイショウっぽい」
「そーかー、それでヘビモドキかー」
「いや、誰かアホっての否定してやれよ可哀想だから」
「なー、今の店員さん誰? コイビト?」
「……にしては、お前なんか顔が暗いな」
「知らない人だって。初対面だって!」
「なぁ、何でそんなに怯えてんの?」
「……別れ際にな、『きっとまた来てくれますよね、良さが分かりますよ。顔、覚えましたから』って……」
「怖っ! お前、それ絶対やばいって!」
「逃げろ! とりあえず逃げろ!!」
「だろ!? ヤバいよな、ヤバイよなっ!?」
>> dehyca_code
Ly リ/リュ モノとしての『私』/意思としての『私』
De デ/ディ モノとしての『君』/意思としての『君』

es エス/イス 呼びかけ/命令

es De
[エス ディ]であれば「やぁ、君」程度、[イス デ]なら「おい、そこの」、[イス ディ]だと「ちょっとあんた」くらい、かなあ

es単体での使用は呼びかけ。したがって音は[エス]で、これは無視しても許されるレベルの「ねぇ」「ちょっといいかな」的な呼びかけとして使われる。

「es 固有名詞」は呼びかけの強さによって[エス]あるいは[イス]。
「呼び止める」意思が乗った場合は「止まれ」「こちらを見ろ」といった命令の意味合いが強まるので[イス]になる。

「es 動詞」であればほぼ命令なので発声は[イス]。
#術式言語 (仮)
発音が二通りある単語は基本的に「イ」の発音を《より強い》《明確な意志》の籠もる発音とする。
Lyは「りゅ」「り」、Deは「で」「でぃ」、esは「えす」「いす」のはず。
いずれにしても文字として綴られた際には区別されない。
>> memolog
†えっちゃんと梅枝
梅のほう的には「好き嫌いは置いといて、とりあえず機会が来ればコロス」くらいの意識。
えっちゃんとしては「思ったよりガチでアウトだったみたいだからそっとしておいてやろう」みたいな感じ。

梅のそれが単なる虚勢なら、えっちゃんは鼻で笑って、やってみろよ?って煽るとこなんだけど、奴はわりとガチンコでやる気なのです。ちょっと噛みつかれるくらいなら楽しむ得鳥羽月ですが、喉笛を噛み切る気でくる相手はちょっとノーセンキュー。
そんなこんなで、おもしろ半分に不意打ちで血を食わせたあとは、梅枝の確たる殺意を察してそっと距離を取っている得鳥羽月でした。
好き嫌いでいうと、わりと好きなやつだなコレ、と思っている。

梅枝も、不意打ちへのケジメとして「とりあえずコロス」と決めてはいるものの、好き好んで皇鬼に殴りかかるほどやけっぱちな訳ではないので、会わないならそれに越したことはないと思っている。
そして別に嫌いなわけでもないというか、好き嫌いを判断するほど知り合ってもいないしなあ、って思っている。

実力差からして、どれだけ好条件が揃っても、梅枝が得鳥羽月を葬るのは不可能だけども、そのくらいの気合いで仕掛ければ手傷は負わせてやれる、というくらい?
「死んでもいいから殺す気でやる。コロス。」な梅枝と、「さすがにそれは面倒くさい」なえっちゃんと。
+解消人制度
下級と中級は申請すれば通る感じで、上級は審査が入る。で、特級は審査の上で個体情報の登録が必要。
審査内容は業務に関わりが深い分野の法律知識、レベルは大陸法くらい分かってれば良くて地方レベルまでは不要かなぁ。戦闘メインの業務内容で申請すると実技チェックが入る場合あり。
個体情報は魔力波長が分かれば良し。多いのは微量の血液、自力で波長モデルを生成できる連中は結晶化した魔力、を管理担当に提出です。呪詛られるリスクがあるので提出窓口は厳密に管理。
いずれの等級も定期的な業務報告が必須で、登録時に管理番号の振られた迷子札(違)を授与される。
特級のみ全情報管理が大統府管轄、あとは各地方が大統府からの委託って形で処理してるっぽい。武器の購入や出入国で管理番号を控えられる事はあるけど、日常生活では殆ど使わないしチェックもないから二重登録とかは割と良くある話。
冷邏は中級の輸送業で一個、特級の異種交渉及び法術戦闘で一個。堕栗花は公式だと医療関係者として下級登録、だけど特務がらみとかで動く時には特級登録の情報使ってる。退位後の鬼暗は地元用に下級、でかいヤマ用に上級を別申請して使い分け。
登録のメリットは、武器購入だの出入国だのがスムーズになる、仕事の斡旋が受けられる、役所関係の手続きを一部代行してもらえる、とか。
デメリットは、下手に動くと行動履歴が丸分かりになる、登録情報の照会とか業務報告とかが必要になると数日足止めされる、ってな所?
適用範囲はエレボス大陸全土の全種族、規定は大陸法の管轄、主管は総括府。
>> ss
その兄弟はともに、王の嫡子として生まれた。父は違えども、同じ母の血を継いだふたり。けれども兄と弟は、決して交わることのない道を歩いていく。
ひとりは、受け継いだ魂をただ無垢な切っ先へと磨き上げ、ひとりは、受け継いだ温もりをただ未来へと届けようとした。母はどちらも笑って見守り、見送った。

レンヨウ、緋雨の名で知られる天泣王国の懐刀と、トゥバン、天泣王国の威風をそのまま王としたような稀代の統治者。あるいはこれが、ツイリとテンロウへ続く確執の、始まりの関係であったのかもしれない。
その家は防人の裔であった。防人と言っても、かれらが守る境界は人と人とのそれではなく、彼岸と此岸、他界との境である。
いくつもの戦があり、幾年もの時が過ぎ、やがてその家も、僅かばかりの役目を引き継いでゆくばかりになった頃、男児がひとり、家に生まれた。

砦はいまや社殿となり、防人は神職へと変じていた。生まれた子は、幼い砌から防人に足る能力の片鱗を見せてはいたが、それも、今となっては神職としていくらか適性があるだろう、と判断される程度の重要性に過ぎない。──表向きは。
その実、社殿が管轄している鎮守の杜にはまだ、防人を置かねばならぬ諸々の存在があった。
だが生まれた子、少年と呼ぶべき年頃まで育っていた彼は、その旧態依然とした家の有り様に反発する。

そうして、彼、防人である的場の司の当代、奇跡屋の的場屋は、一度『それ』とは袂を分かった事がある。
だから今も、彼は少しばかり斜に構えて、露悪的に振る舞うのだ。かつての無知を嫌悪するように、かつての反発を忘却しないように。

……という感じでブツ切りの雑多なメモやネタをもりもり放り込んだライブラリです、もりもり増えます。