眠い。
昨夜ふと手に取った本のせいだ。まだ迷い込んだばかりの頃、知らずに翌日また続きを読もうと手放してしまった物語。
ここは読みかけでも容赦なく行方知れずにして、素知らぬ顔で別の物語を差し出してくる。読み終わってからでなければ危なくて本を戻せない。
だから最後まで読もうとして――ああ、眠い。
戻って入ってきた扉を開けると、廊下だった空間は夜のテラスへ置き換わっていた。
無人のテーブルにカンテラが一つ取り残されて、離れて置いてある書物をゆらゆら照らしている。その装丁はさっき届かず諦めた本によく似ていた。そっと触れる。
天鵞絨の表にタイトルはなかった。まあそれも、ここではよくあることだった。
昨夜ふと手に取った本のせいだ。まだ迷い込んだばかりの頃、知らずに翌日また続きを読もうと手放してしまった物語。
ここは読みかけでも容赦なく行方知れずにして、素知らぬ顔で別の物語を差し出してくる。読み終わってからでなければ危なくて本を戻せない。
だから最後まで読もうとして――ああ、眠い。
戻って入ってきた扉を開けると、廊下だった空間は夜のテラスへ置き換わっていた。
無人のテーブルにカンテラが一つ取り残されて、離れて置いてある書物をゆらゆら照らしている。その装丁はさっき届かず諦めた本によく似ていた。そっと触れる。
天鵞絨の表にタイトルはなかった。まあそれも、ここではよくあることだった。