gottaNi ver 1.1


 その子は、満開の曼珠沙華に埋もれていた――姑獲鳥に救われた、とある奇跡屋の昔話。

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 その子は、満開の曼珠沙華に埋もれていた。

 私の足音でふと眠りから浮上し、美しい双眸を見開いてから、その色に驚嘆する私の表情を何ととったか、恥じるように目を伏せ、伸び過ぎた前髪をわたわたと撫でつける。

 虎眼石のまばゆい金茶と、橄欖石のあかるい若葉色。
 私が愛おしいと感じたそれはしかし、娘の生きていた世界では、ただ奇異と忌避の対象でしかなかったらしい。
 邪魔だからと、髪を切り揃えて整えてからも、瞳を隠そうとするその癖は、しばらく治らなかった。

 私はその幼子に手を差し出し、彼女は私の手を取った。

 何故と問われれば、それが姑獲鳥の性であろうと、私は微笑む。
 娘は、ふと安らいだまどろみの中で、私を恐れなかったわけを囁いて、笑った。

「あんまりに綺麗だったから、花の神様だと、思ったんです」

 ただ美しいだけの双眸で、異形と誹られ、迷い込んだ先でまことの異形に縋った娘は、それでも幸福そうに見えた。
 私もまた、器量のよい娘を得て幸福だった。

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この母上から容赦なく娘さんを掻っ攫った香籠さんがどんだけ強心臓なのか、っていう話。
あと風流これと対決すんのか、頑張れよっていう話でもある。


UP:2014-11-01
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