gottaNi ver 1.1

氷菓と絡繰


UP:2020-01-22

「まあ、そういうことなら、また来るだろうし。待って捕獲すればそっちは問題解決かな」 「左様ですね」  オルゴールを狙っている、という輩への対処はそれでいいだろう、と、自律人形は店主とうなずき合う。この『王国』でならそうそ […]


UP:2020-01-22

「……で、ええと。この小さいお客さんは、結局オルゴールの『幽霊』ってことでいいのかな、閟誕」 「左様ですね」 「ええ……まあ、そうね。正確ではないのだけれど、このオルゴールにとりついたもの、そんな認識でもいいわ。許しまし […]


UP:2019-05-03

 少女は、遠い国から来た。特区から特区へと流れ、境界を渡って。 「あの」  決して声を張り上げたわけではく、けれど、場を支配し耳を傾けさせるだけの強さで、鈴の音が響くように声が通る。  状況を理解していない絡繰屋と、それ […]


UP:2019-01-20

「――という出来事が、昨晩に保管庫で起きまして」 「はあ」  報告には、間の抜けた相づちが返ってきた。  工房横の部屋に棚を乱立させて作ってある、引き取った品々の仮置き場。修繕が終わっていない絡繰をまとめて管理しているそ […]


UP:2018-08-18

「ふわふわしたやつ、とは……」 「ふわふわはほら、ふわふわだよ。軽くて、撃っても手ごたえがなさそうな感じの」 「はァ」  なんでこの店主、基準が、ほとんどにおいて発砲した時のあれこれなのか。  軽く上げた両手で、ゴムボー […]


UP:2018-08-16

「……んん?」  一転、やる気になった絡繰屋だが、すぐに何かができるわけでもない。  ひとまずオルゴールは荷受けして保管、ここ最近で似た『発掘品』の出た特区などの情報を集めたり、骨董方面でオルゴールの意匠について意見を求 […]


UP:2018-08-16

「――特区利権でひと山当てた資産家。指定解除候補の特区を視察しに行って失踪、死体で発見。……うわー、真っ黒だよ、これ。怪しいなんてもんじゃないね、これ」  運送屋から依頼主の情報をもらい、身元を洗った結果は、どこからどう […]


UP:2018-08-16

「あれぇ? 閟誕に方向性がおかしいとか言われるのは予想外なんだけど」  応対に出た自律人形の背中を見送りつつ、絡繰屋は首を傾げる。  肉が食べれば片付くのも、ネジが食べられないのも、間違いなく真理だと思うのだが、何故だろ […]


UP:2018-08-16

「んー」  思案しながら呟いて、まず店主はもろもろを確認する。 「まず、問題は動作不良と……謎の子供? それが出なくなればいい?」 「ええ……そうですね、その二つをお願いしたい」 「うちの細かい条件、聞いてきました?」 […]


UP:2018-08-12

 絡繰屋の求めに応じて、客は戸惑いながらも、来店にいたった理由を語りだす。 「私はその、趣味で骨董の類を集めております。特に、少し仕掛けのしてある細工物が好きでして……普通の手順では開かない箱ですとか」 「あぁ、あります […]