反省は、している これでも。
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それは、ふ、と的場屋《まとばや》の生業、神主としての話になったときだった。
「シンシ?」
「神の使い、神使。うちなら蛇だな」
「へえ、いいよね蛇。なんなら食べられるし」
「…………」
「…………」
「あれ?」
思わず沈黙した的場屋《まとばや》と香籠《かごめ》とに、絡繰屋《からくりや》がきょとんとした目を向けて首を捻る。
「手前ェなぁ……」
「あっ待って、いま絡繰屋さん何かやったよねこれ、なになに?」
唸るように、呆れとも驚愕ともつかない、とにかく信じがたいモノを前にしたときの反応で、的場屋が低く呼びかけると、絡繰屋は珍しく慌てた様子で子細を尋ねたのだった。
「……という事があり」
「まあ……」
「以来、的場屋は絡繰屋を立ち入り禁止にしたと、まあ、そのような由です」
「食べようと……?」
「ええ」
「神域の、神の御使いを……なのね?」
「ええ」
「マイスター……!」
口元を品よく指先で覆い、氷菓の姫……絡繰屋が預かる神霊であるところのユングフラウが、引きつった小さな非難の声を上げる。
さもありなん、と語った香籠は徐《おもむろ》に頷き、となりの元凶へちらと目をくれた。
「その節は、はい。神使がなんなのか知らなかったとはいえ大変な問題発言をしました、はい。絡繰屋さんもこれには謝罪」
「当たり前でしょう」
「芋づる式に以前そこで神使の子蛇を捕まえていたことも発覚したため……」
「マイスター!」
「はい、その節もいやほんと申し訳ないことをね、絡繰屋さんも反省しててね」
「当たり前でしょう!」
ユングフラウも、過去、領域に捧げられそこを庇護するモノであった神霊の名残だ。当然、禁にはひとより敏感である。
「もう、本当にしかたのないひとね」
「これには返す言葉がない」
「さて、そのような理由で、姫君には申し訳ないが的場屋の預かる宮に挨拶へ出向くのは難しいかと」
「……よく、分かったわ。話をありがとう、天神の裔さん」
「依代の調整がついたら出歩けるかもしれないんだけど。絡繰屋さんちょっとそっちの方面には疎いからすぐには駄目そう。悪いね」
「いえ、それは急いではいないし、いいのよ。気長に待つわ、マイスター。こちらの領域を司る御方が在るなら、礼として一度は挨拶をと思っただけだから」
「そう? それならいいんだけど。修繕を引き受けたからにはこっちもね、仕事はきちんとしたいからさ」
「ええ。……マイスターのその真摯さは、美点だと思うわ。よろしくお願いするわね」