gottaNi ver 1.1


こういうことをするから背負うものが増えるってわけ!

***

 愛情を疑ったことはない。
 ただ、どうやっても踏み込めない一線がどこかに引かれていたとは思う。

「……父上」
 父、と彼のことを呼んだのは、いつ以来だったろう。
 形式上の親子関係は、どちらかと言えば師弟に近いもので、自分は彼を父親という意識で見ていたことはなかった気がする。頼れる師、あるいは年の離れた兄。そんな存在であっただろうか。
「私を、使ってください」

 うまく、彼のように笑えたかと、そんなことが気になった。

 父上。陛下。――ツイリ様。どう呼んでも構わないと笑った貴方は、この国に必要な人だから。
 だからどうか、捨てるのならば俺にして欲しい。

「その我が侭は卑怯だね」
 ふっと笑って返された言葉に、どこか安堵して、思う。
 ああ、やっぱり貴方はいつだって綺麗だ。

 ……その愛情を疑ったことはない。いつだってその手はこちらへ差し伸べられていたし、いつだってその背はこちらを守ってくれていた。
 でも。
 それでも、決して『特別』ではなかったのだとも、わかっていた。

 だから、きっと貴方は正しい選択をしてくれる。この国のために、王として。

「いいよ」
 優しく、言葉がひとつ、はらりと降った。

「私のために死んでくれるね?」
「はい」

 犠牲を忘れるひとではないと、知っている。
 だからこれで構わない。

 貴方の命に代えられるなら、喜んで。


UP:2026-05-11
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