こういうことをするから背負うものが増えるってわけ!
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愛情を疑ったことはない。
ただ、どうやっても踏み込めない一線がどこかに引かれていたとは思う。
「……父上」
父、と彼のことを呼んだのは、いつ以来だったろう。
形式上の親子関係は、どちらかと言えば師弟に近いもので、自分は彼を父親という意識で見ていたことはなかった気がする。頼れる師、あるいは年の離れた兄。そんな存在であっただろうか。
「私を、使ってください」
うまく、彼のように笑えたかと、そんなことが気になった。
父上。陛下。――ツイリ様。どう呼んでも構わないと笑った貴方は、この国に必要な人だから。
だからどうか、捨てるのならば俺にして欲しい。
「その我が侭は卑怯だね」
ふっと笑って返された言葉に、どこか安堵して、思う。
ああ、やっぱり貴方はいつだって綺麗だ。
……その愛情を疑ったことはない。いつだってその手はこちらへ差し伸べられていたし、いつだってその背はこちらを守ってくれていた。
でも。
それでも、決して『特別』ではなかったのだとも、わかっていた。
だから、きっと貴方は正しい選択をしてくれる。この国のために、王として。
「いいよ」
優しく、言葉がひとつ、はらりと降った。
「私のために死んでくれるね?」
「はい」
犠牲を忘れるひとではないと、知っている。
だからこれで構わない。
貴方の命に代えられるなら、喜んで。