どうしたって君を傷つけるなら
***
深く、深く、眠る。
思考も痛みも不安も上へ置き去りにして、深く深く潜っていく。
「……大丈夫か」
「大丈夫だよ」
だってほら、君がいる。それだけでいい。
「本当に?」
「うん」
だってほら、眠ってしまえるくらいだから。
怖いことはなにもないんだ。痛いことも疲れることも、眠ってしまえば平気なんだ。
だから、君は傷付かないで。
知っていた。
本当は、とっくに分かっている。
いくら安心して寝ていると言っても、いくら眠れるくらいだから平気だと言っても、この傷が消える訳ではないことくらい。
この傷ができてしまった以上、君が笑えることなんてないって。
眠りなんて、ただの逃避だ。
深く、深く、眠る。
君には穏やかな顔だけを見せていたかったから。
君には穏やかな顔で息をしていて欲しかったから。
だけど、本当は知っていた。
ごめんね、親友。
この眠りが、きっと君をなにより傷つけた。
ねえ、隣で君は眠れていた?
ねえ、寝ている間に泣いたりはしなかった?
……なんてこと、訊けばきっと無理をさせるから。
知らないふりで、また眠るんだ。
君が隣にいてくれるなら、なんだっていいって。
なにも知らない顔で、笑う。
ごめんね。