gottaNi ver 1.1


どうしたって君を傷つけるなら

***

 深く、深く、眠る。
 思考も痛みも不安も上へ置き去りにして、深く深く潜っていく。

「……大丈夫か」
「大丈夫だよ」
 だってほら、君がいる。それだけでいい。
「本当に?」
「うん」

 だってほら、眠ってしまえるくらいだから。
 怖いことはなにもないんだ。痛いことも疲れることも、眠ってしまえば平気なんだ。
 だから、君は傷付かないで。

 知っていた。
 本当は、とっくに分かっている。

 いくら安心して寝ていると言っても、いくら眠れるくらいだから平気だと言っても、この傷が消える訳ではないことくらい。
 この傷ができてしまった以上、君が笑えることなんてないって。
 眠りなんて、ただの逃避だ。

 深く、深く、眠る。
 君には穏やかな顔だけを見せていたかったから。
 君には穏やかな顔で息をしていて欲しかったから。

 だけど、本当は知っていた。
 ごめんね、親友。
 この眠りが、きっと君をなにより傷つけた。
 ねえ、隣で君は眠れていた?
 ねえ、寝ている間に泣いたりはしなかった?

 ……なんてこと、訊けばきっと無理をさせるから。

 知らないふりで、また眠るんだ。
 君が隣にいてくれるなら、なんだっていいって。
 なにも知らない顔で、笑う。

 ごめんね。


UP:2026-05-11
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