6.後悔するほど愛し愛されたい
世界は単純なまでにそこに帰結する
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置き去りにして先に逝くか、取り遺されて見送るか
遺して泣かせるか、遺されて泣くか。
例えば ふと気配を見失った時、
気付いてみれば、ただそれだけを気にしている。
負って生まれた血の責と 選んで負った血の重みと
変わる筈が無いと思っていた殉ずる先と
得る事など無いと思っていた祈りの先と
恐れる日などは来ないと信じていた喪失と
気付いてみれば、余りにも多くを失っていた。
情など絡みようが無かった場所で、何よりも得難き人に出遭う。
情など絡みようが無かった立場で、誰よりも得難き人と出逢う。
気付けば他のものなど捨てられる程、ただ一人だけを強く望む。
統治の定めと 守るべき国
個の幸福など祈る事は無く 失くして惜しい相手など持たず
契りなどは名ばかりの茶番にしかならない筈が。
貴方さえこの手に残るなら 失うものなど惜しみはしない
いつか悔恨に焼かれるとしても。
後悔するほど愛し 愛されたい
世界は単純なまでに、そこに帰結する。