<お題>
プレアデスの祝福をうけた旅人。黒水晶の角を持つ。永遠を形にするため、強すぎた光の残照を求めて旅をする。アルデバランに縁の深い旅人とは家族。
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小さな冠に似た、縦長の扇状に伸びた水晶たちの角。少し斜めに生えたその黒水晶は、一見すると、洒落た髪飾りを載せているようだった。
「これえ? よくねえ、ちまっとした帽子って言われるんねー」
どこの地方とも知れない、独特の訛りが混ざった言葉でのんびりと話して、旅人は頭の角を軽く指でつつく。
「星もプレアデスで群星しょや、角も群晶でお揃いな。洒落てるんはいいんけどなあ、たまにぶつけるんが悩みのタネよ」
持ち込んだ夜食をひとつふたつ摘まんで、宿代にといつもの夜話が始まる。
探し物は、強すぎた光の残照。どこかに残された光の痕跡を求めて、今宵の語り手が辿る旅路は幕を開けた。
「なんぞねえ? 強い光って言うんから、サハラの日照りとかかんねー? 夕暮れあたりに向こーたら拾えたりしぃへんかな。夕焼けはええよー、アルデバランに似とってんし、好きなんさ」
親しい誰かを思い出すのか、暖かく目を細めて、赤みがかった星をひとつ追う。同じ空には、旅人の星もあるだろう。
「とりあえずサハラにアタリつけてなあ、砂漠の薔薇の連中にも訊いてみよか思ってんでねー」
砂漠にゆかりの民を挙げ、当面の行く先をそう語ると、手酌で杯を満たして一息。
「んー、だらだら飲む夜はたまらんねー!」
いつ終わるとも知れない道行きの、ささやかな楽しみだと、上機嫌に笑声を零した。
「んん? 残照を探し当ててから?」
しばしゆるりと寛いだのち、投げかけたいつもの問い。
応じて、旅人はその終着点をのんびり告げる。
「うん、そうしたら……永遠を、なあ。見つけるんさ」
滑らかに光を反射するモリオン、その黒色のような闇を秘めて、プレアデスの祝福を持つ旅人は、笑った。
「まあ、光に置き去りにされたもの、ってなら、影も残照も変わらんかも、ねえ。やろ? 影を宿すのが黒水晶よ? したらば、残照もなんとだってしてみせるんね。ふふ、永久は……焼きつけられるんかなあ?」
求める残照は、永遠を形にするために。
掴み所のない望みの為の、掴み所のない探し物。それでも旅人は、旅を始め……旅を、続ける。
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まさかの超速更新ですよ!! 奇跡か……。