奴にも多少の心はあるんだよみたいな話!
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いいよ、と軽く笑って、言った。
……お前が『神』になるというのなら。
――いつかが来たとき、俺は『お前』を、終わらせる。
旧き神はただ、力を統べるものだった。その名にほかの意味はなかったし、祈りも、期待も、何も、応えるべき声ではなかった。
古き神は、祈りを押しつけられたものだった。その名には助けを求めたものたちの期待が重なり、存在を縛ろうとする鎖になっていた。
今、神は、祈りを食らい、祈りに食らわれるものになりつつある。
進んで祈りを引き受け、その対価として存在肯定を強めた神は、いっときの栄華とひき換えに、いずれ、その祈りに応えるためのモノへと成り果てるだろう。
「特に、人の神なんてさ。短いスパンで繰り返しめちゃくちゃな要求をしてくる連中に付き合おうなんて、はっきり言って自滅したい馬鹿くらいしか選ばないよ?」
ひとり、その『馬鹿』を知っているけど。
もう、その意思がどうなっているのかは、話を聞かなくなって随分と経つ。
いつものように小首をかしげて、眼前の相手に問いかければ、もうすべて決めた顔で微笑んだ。
「わかって、いる。……遠からず、おそらく私は望みに寄り添いそれを叶えるだけのものとなるのだろうな」
「それでも選ぶ?」
「……ああ。神王たちもここのところの動きが鈍い、このまま誰もあれらを庇護しなければ、早晩この世界は『儀式』の濫用で壊れるだろう」
「んー……まあ、そこはあるかなーとは俺も思うんだけど」
「お前は……いや、いい」
本心を問おうとして、やめた言葉。まあ、たぶん俺のこれが大概にテキトーな猫かぶりだってことはもう知られてるだろう。それでも一線を踏み込んでこなかったのは、こいつの誠意だ。
それなら、まあ、俺にも応える義理はあるだろう。
「いいよ」
小さく、ひとつ。
庇護の対価に、あの馬鹿げた『儀式』を抑制する。それをなしきる前に自我が祈りに呑まれるなら。
――その時は俺が、終わらせてやる。
「いいよね?」
問えば、同じ一言が返された。
「ああ。――それでいいよ」