gottaNi ver 1.1


パパ上のごめんね回!
飲み込んだ祈りを、それでも遺す。

***

 年々、笑い方が自然に、巧みになっていく。穏やかで、およそ争いごとになど縁もなければ望みもしないというような、聡明ではあるが内の火を決して露わにはしない、そんな微笑は、姉によく似ていた。

 天泣の王室は、伝統的に血統をまったく重視しない。無論、引き継がれてきた『家』が優れた素質と教育とを生み出すことは否定しないし、迎えられた養子の多くが、そういった『名家』から輩出されていることも確かだが。
 ――それが機能しなくなることもある。
 先代の王が本決まりするまで……つまり、母が『天泣王』として本当の意味で天泣に承認されるまでは、ひどい有様だったという。

 本来、天泣王家に後継の候補として迎え入れられた者は、誰であれ前歴を秘匿される。
 たとえ王家に近い家から出た子であったとしても、そのつながりを公にして縁を結ぶことは、ない。

 だが先代の座をかけた即位と退位の繰り返しでは、縁戚の介入が頻繁に起こり、その度に王の首が飛んだ。
 その混乱を目の当たりにして、先代は長く、養子の扱いには慎重であったし、実子の自分にもよく念を押してきたものだ。
 ……だから、あの子が死人の影を背負い、背を追い、似ていくことを――姉がいたという過去を、この先どうあれ新たに誰かが知ることは、ないだろう。

 自分たちが、彼女について語り合う日もまた、おそらくは永遠にもう、ないのだ。

 ――ツイリ。愛しい俺の子。
 お前から後継権を剥奪できるなら、あの日の光景に縛られる理由を奪ってやれるなら、多分、それがお前にしてやれるただひとつなんだろう。
 お前の未来を憂うなら、理由など作り上げてしまえばいい。

 だから、お前がこれ以上に何かを背負う必要はない。
 なにかを罪と言うのなら、それはお前の価値を認めてしまった俺の正しさと愚かさにある。

 お前のゆく道を壊すことを選べなかった、馬鹿な父を、どうか罪としていってくれ。
 ――お前の咎など、なにもないのだ。


UP:2026-04-04
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