見な、これがれーら限定わんわんだよ!(
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神などもう本当はいないのだと、とっくに知っている。天に希うことだって何もないけれど、自分はそれでもあの出会いを運命と呼ぶだろう。
「空連で、いいか」
「クレン?」
「飛妖なら、まあ、空に連なるものだろう。お前に連がないなら、空をルーツにすればいい」
連。妖魔、と呼ばれている自分たちのような種族が集まる群れを、そう言うのだと、彼は教えてくれた。
翼を持ち、空を駆ける種でありながら、ずっと、ずっと、空の色も風の流れも知らずにいた。忘れてしまった。
いつか痛みにも心は慣れて、気紛れに訪れては自分を傷つけ苛むものの存在も、当たり前になっていて。
ここから自由になれるだなんて、思いもしなかったのだ。
母は飛妖、父は魔晶。なぜふたりが結ばれ、そして殺し合ったのかは分からない。ともかく自分はそうして生まれて、それから母を殺した父に連れ去られ、なぜかも知らずボロボロにされながら生きてきて……それから、とある夜に救われた。
レイラ、と名乗った小さな術師は、自分に負けず劣らずのボロボロな身体で、自分とは全く異なる目をしていた。今でも、月のように冴え冴えと、それでいてすべてを焼き尽くすように強い、生きるものの輝きを眩しく思い出す。
拘束と術式を問答無用でブチ抜いて、そこで力尽きた軽い体躯を抱えて歩いた。
空が、とにかく綺麗だった。レイラによく似た薄青い月に、燦然と散る星々。飛べこそしないが、この相手を抱えて歩くことはできる、そのことがなんとなく、心を揺らす。
空連、と呼ばれたあの瞬間を、きっと自分は永遠に、忘れまいと願うだろう。
ねえ、れーら。わたしの恩人、戦友、あの夜の運命。きっと深い意味なんてなかった雑談の、ほんの一言が、とりあえずで呼ばれた名前が、こんなにも重くなるなんて予想もしなかったね。
でも、こんなにも、今わたしの心は、動いている。
だから、わたしはわたしのすべてを、きみにあげるよ。