うんうん、それもまた天泣だね(暴力、不穏)
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「已むを得ませんね」
「がっ……!」
独り言のような声と、衝撃は同時だった。何が起きたのか理解する前に、縛り付けられていた椅子ごと、床に倒れる。
遅れてじわりと痛みを感じ始めた身体で、足のあたりを蹴り抜かれたのだろうか、と理解して、すぐ。
コツ、と足音が、ひとつした。
「人体からしていい範囲を超えた音がするかとは思いますが、死ぬことにはなりませんので」
淡々と、そう告げながら、首を押さえられた。
呼吸を圧迫され、喘ぎ、開いた口に、布と短剣の鞘とが押し込まれる。
穏やかな、慈愛すら感じられる整った微笑。
「狂えるとも、思わないでください。……こちらも、こういった事には慣れていますから」
「…………ッ!」
「――天泣が、この程度を躊躇うとは、思わないほうが良かったですね」