いずれ導きの星となれ、と願われて。ちっこいテンロウとパパ上。
***
これなら、あるいは、と思ったのは、その時だったのだと振り返る。
嫌だ、と燃える目が世界を睨んでいた。
こんなところで、ただ潰されて終わるだけの命になど、ならないと。
「なあ、お前。それなら一旦うちに来るか?」
「……は?」
「これでもチビ助ひとりくらいは引き受けられるぞ」
告げて笑えば、ずっと険しかった表情が一瞬だけ驚きに緩む。
ああ、まだお前は、きっと間に合う。
脳裏に浮かんだもう一人の、決して緩むことのなくなった燃える目を思い、手を伸ばした。
半年ほど前にこの一角へ居着くようになったその少年は、名前も記憶もなくしていたという。
通りがかりの匿施巡礼者が、倒れていたところを見つけ手当をしたあと、行く先もなくそのままここで暮らしていたそうだ。
よくよく見れば左右で僅かに色の違う瞳をしているから、あるいはそれで『珍品』として目をつけられて何かあったのかもしれない。
話をしてみれば、警戒心が先に立っている様子ではあるものの、受け答えは随分としっかりしていて驚きもした。
正直なところ、後釜としてであれば、必要はない。これ以上わざわざ子を持つまでもなく、今は息子たちがいる。
それでも声をかけ、手を伸ばそうと決めたのは、その瞳を見たからだ。
熱さえ覚えるほどの輝き、折れまいと世界へ牙を向けるその炎は、何より自分が重んじてきた星の欠片で。
「――生きたいだろ?」
分かりきった問いを投げかける。
「訳も分からないまま、なにもできずに、こんなところで終わるのは、まっぴらだろう?」
「…………」
「賭けてみないか?」
どうかその未来を、しばし預からせて欲しい。
――いつか、天の星が如く地を照らし導くものとなれと。