gottaNi ver 1.1


28.綺麗なものは触れなければ壊れない
  綺麗な貴方は触れなければ 壊れ な い

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 血の色を、いつも 思い出す。
 願いはずっと一つだけ。

 ただ 壊れないようにと。

 出自を隠すのは、力について尋ねられる事が怖いから。
 話したくない。知られたくない。識らせたくない。
 ほんの僅かな揺らぎさえ、この力は読み取って、引き寄せて 何もかもを壊してしまうから。

 死を引き寄せ、死人(しびと)を呼ぶ。
 死を読み取り、死人(しびと)を喚ぶ。
 生者の死出を誘(いざな)い、死者の名残を調(と)なう。

 果て切れない命の欠片を見出し、従え、送る者。
 そして 終焉へと傾く心の幽光を見出し、望むと望まざると関わらず、死へ向かわせる者。

 どれだけ強く、死んで欲しくないと祈っても 届かない。
 力を明らかにする限り、この手からは命が零れ落ちてゆく。

 貴方に触れる事など できる訳がない。

「どうして、自分の事を話してはくれないの?」
 この力について話す事など できる訳がない。

「自分だけで抱え込んで、辛くはないの?」
 日々を壊してしまうほうが 遥かに辛い。

 触れられる訳がない。

 共に死人喚びだった両親は、共に命を落とした。
 傾く心をどうにもできず、その心がより強く死を呼び、大切なものを巻き込むのではと、恐れて。
 広がっていた血と残った聲は、今もずっと 覚えている。
 親しい者たちには生きて欲しいと、愛していると 祈りのように 残っていた。

 自分の存在が、影響したのかもしれない。

 親しい人たちがいて、穏やかに時間が流れる、この日々を本当に大切に思う。
 自分には過ぎるほどの幸福を 失いたくないと、願っている。

 綺麗なものは、触れなければ壊れない。
 綺麗な貴方は 触れなければ、 壊れない。

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 アレイトエア。基本的に後ろ向き自虐思考なので周りが大変。


UP:2020-09-29
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