gottaNi ver 1.1


25.他人と共にいなければ寂しいの?
  弱い生物は滅べばいいのに

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 長い微睡みの果てに、広がる世界を視る。

 黄昏を顧みず、黎明を冀わず、永劫を煩わず。
 受容を求めず、救済を望まず、同調を欲せず。

 望みは、己の欲するを識る事。
 願いは、己の為せるを量る事。

 己を律する理の枷、覆しがたい束縛を退けて生じたそれは、向けられた全ての否定を拒み、打ち滅ぼした。
 同族より与えられた異能の忌み名、同胞より齎された死の刃を抜け、夜闇を翔ぶ。
 追われるとあれば逃れ、阻まれるとあれば破り、已まぬ排撃に倦んで幾度、月の廻りを数えて幾歳。

 全ての終焉を臨む間際、陰無き月の夜に邂逅は成った。

 共に理の枷から零れ落ちた生まれの鳥が、真逆を目指し穹を渡る。
 その道行きに祈りは無く、その行く先に神は無く。
 伸ばされる腕(かいな)を無造作に手折り、己の望みを導にただ翼を誇り。

 永い羽搏きの最中に、広がる分岐を視る。

 墜ちる事を知らない鳥は、あらゆる言葉を抜け刃を退け、祈りを捨てた。

 死には死を。
 共に在れと呼ぶ声には断絶を。
 従えと命ずる言葉には沈黙を。
 力には力を、闇には闇を。

 群れて初めて安堵する者たちに、同一であれと望む者たちに、それは鮮やかな笑みで拒絶を返す。

「 他人と共にいなければ寂しいの?

  ――弱い生物は滅べばいいのに。 」


UP:2018-09-04
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