gottaNi ver 1.1


 絡繰屋

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 少年はとある暑い国で生まれた。それ以上のことはもう誰も知らない。少し気合いを入れて遠出をすれば熱砂が吹きすさぶような土地で、めいめいから好き勝手に呼ばれてきた。
 かつてどんな名前だったのかも、もう誰も知らない。あるいはそもそも、無かったのだろう。
 少年も、べつに興味はなかったので、今はもう誰がどう『彼』を呼んでいたのかなど、すっかりと忘れてしまっている。
 何番目とか、ガキとか、そこのチビとか、……オモチャとか。そんなような、たわいもない呼びかただったような気はするけれども。

 けっきょく、今も彼に名前はない。けれどもまあ、マイスターとか、絡繰屋とか、なんとなく彼が気に入ったもので呼んでもらえるものだから、いいんじゃないのと、思っている。


UP:2023-01-13
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