春の雨がしとしと降る夜、宵色の緞帳をそっとめくって空に潜れば、星の海には月のクラゲがふわふわと。流星ペンギンがシリウスの光を目指して飛んでいく。眠くなるまでここにおいでよ、藍色の夢が見られるよと、どこか深いところから歌声が誘う。それもいいかな、おぼれてしまいそうだけど。
泡立つ雲に捕まって、ぷかりぷかりと漂ううちに、うとうと眠気が忍び寄る。もういいかな?もう少しかな?どこか遠くで歌う声。すうっと群青色の底へと沈んでいって、はて、どこからどこへいくのだろう?
みんな忘れて、おやすみなさい。夜明けが来るまで眠りましょう。(おしまい)
UP:2025-06-28